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模型で復活 旧女川駅舎 ミニチュア作家・タカマさん 駅舎内や周辺も忠実再現

 福井県福井市のミニチュア作家、タカマノブオ(本名・高間信夫)さん(58)が東日本大震災の津波で流失した旧JR女川駅舎の模型を制作し、このほど東北電力女川原発地域総合事務所に贈った。タカマさんは3月に同事務所で展示会「映画やアニメの間取り模型展」を開いており、取材に「当時を懐かしんでくれれば」と女川への思いを語った。

 タカマさんは映画やアニメの主人公らが住む家の間取りを推測してミニチュアハウスを制作。完成度は非常に高く、全国的な知名度を持つ。女川町での展示会を縁に、同事務所が旧駅舎の制作を依頼した。

旧女川駅舎が模型で復活 ミニチュア作家タカマさん制作 (1)

震災前のJR女川駅舎をミニチュアで再現

 タカマさんは残っていた写真から図面を起こし、正確さを求めて地元住民からも声を集め、約半年かけて完成させた。模型の縮尺は45分の1で、台座は60センチ四方。駅舎内も精密に再現され、切符売り場や室内のポスターなど造形にもこだわりが見られる。

 駅舎の周りも忠実に再現し、特に休憩所として使われていた汽車は国内で模型の取り扱いがほとんどなく、大部分を自作。客待ちのタクシーもミニカーを改造して作った。

 そのほか、自動販売機や看板も当時と同じように配置し、トタン屋根の経年劣化を表現するウェザリング(汚し塗装)など、ベテラン作家ならではの技術が光る。タカマさんは「駅舎はさまざまな思い出が詰まった場所。心の復興の一助になってくれればうれしい」と話していた。

 同事務所の黒坂伸也課長は「本当に素晴らしい完成度。多くの町民に見てもらい、当時の思い出話など話題のきっかけになれば」と語る。現在、模型は同事務所内に保管されているが、町内で展示可能な場所を探しているという。【渡邊裕紀】



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