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「住みやすさ」6割実感 新総合計画 策定へ調査 安心・安全が将来キーワード

 石巻市が来年度から10年間の新たな総合計画を策定するのにあたって行ったアンケートでは、転入者を含めた市民の6割が住みやすさを実感していた。将来を考える上で鍵となる語(キーワード)を選ぶ設問で、市民が「安心」、転入者は「安全」を最も多く選択。不安や危険がないことが肝心と言い換えられ、これからのまちづくりに生活環境の快適性や医療・福祉・子育ての充実、防災対策が求められた。【熊谷利勝】

 アンケートは暮らしに求めるものの傾向を把握し、まちづくりの課題を洗い出すのを目的に昨年11―12月に実施。18歳以上で無作為抽出の市民3千人、同様に過去3年間の転入者500人を対象にした。回答は市民1137人(37.9%)、転入者150人(30%)で居住地はともに旧市内が多い。

 住みやすさへの市民の答えは「どちらかというと住みやすい」が47.6%、「とても住みやすい」は13.3%で計約6割。転入者はそれぞれ42%、14%で市民と大差なかった。

 今後も「ずっと住み続けたい」「当分の間住み続けたい」という市民が計8割、転入者は7割。市民は愛着や地元であることを理由に居住を望んだ。転入者は、主に仕事や結婚をきっかけに移り住んでおり、地元でないことや交通、買い物、遊びの不便さなどから2割が「できれば市外に移りたい」と回答した。

 将来像のキーワードは、回答の多い順に市民が「安心」「安全」「経済的豊かさ」「活気」「心の豊かさ」。10年後のまちは「医療・福祉サービスの充実」が最多の48.1%だった。年齢層が高いほどこの割合が増え、キーワードの筆頭が「安心」なのも納得できる。次いで「生活環境の快適さ」「災害に強いまち」「子育て環境の充実」となった。

 一方、転入者の将来像のキーワードの1位は「安全」。上位に「安心」「経済的豊かさ」「便利」「快適」が食い込んだ。一番に望むのは「生活環境の快適さ」で58.7%。「子育て環境の充実」「災害に強いまち」「医療・福祉サービスの充実」などが続いた。転入者は若い世代が多く、上位項目は市民と同じでも順番が異なった。

道路整備や防災課題 満足度低く重点項目


 アンケートでは市の取り組み項目に対して満足度、重要度を評価してもらい、平均点からどれに力を入れるべきかを探っている。その結果、重要度が高いのに満足度が低い項目を重点改善とし、最も力を入れるものに分類。社会基盤分野では公共交通ネットワーク、幹線道路・生活道路の整備、防災対策分野は地震・水害に対する防災体制づくり、原発の安全対策・情報公開が当てはまった。

 このほかの重点改善項目は、健康福祉医療分野が福祉サービスの質の向上や子育て機能の充実、産業振興分野は中心市街地の活性化、新たな産業創出、多様な働き手の就業支援など。他分野では教員の質の向上、行政運営や財政運営の効率化が挙げられた。

 総合計画は、市の最上位に位置付けられるまちづくりの指針。市は市民ワークショップなどを踏まえて基本構想の骨子案を作成しており、世界共通のゴールであるSDGsの考え方を割り当てながら年度末の基本計画策定を目指している。


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