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宮富士工業が実名登場 映画「護られなかった者たちへ」 佐藤健さんの勤務先で

 人気俳優の佐藤健さん、阿部寛さんが共演する映画「護られなかった者たちへ」(10月1日公開)に、石巻市の(株)宮富士工業(後藤春雄社長)が実名で登場する。劇中、佐藤さんが働く会社であり、7月26日に仙台市内での特別試写会に招かれた後藤社長(74)は「業界のイメージアップになるほか、石巻の風景も随所に出てくる」と一般公開を楽しみにした。

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映画序盤の舞台となる宮富士工業の工場

 映画の舞台は東日本大震災から10年目の宮城。不可解な殺人事件が相次ぐが被害者は誰もが慕う人格者。容疑者として捜査線上に浮かんだのは、別の事件で刑期を終えて出所したばかりの利根(佐藤さん)。刑事の笘篠(阿部さん)は利根を追い詰めていくが、決定的な証拠がつかめないまま、第3の事件が起きようとしていたー。

佐藤健が宮富士でロケ (3)

佐藤さんのサインが入ったヘルメットを手にする後藤社長

 後藤社長は県溶接協会会長であり、ロケ地候補で瀬々敬久監督から打診を受けた際、数社を紹介したが、瀬々監督の目に留まったのは同社。「映画のイメージにぴったりと言われた」と話す。撮影は昨年7月にあり、佐藤さんは同社で鉄板をつなぐ溶接作業を行った。

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劇中に使用した溶接トーチ

 「こんな感じですか」「そうそう」。溶接シーンがあるため、佐藤さんは後藤社長から直接指導を受けた。後藤社長は平成24年度「現代の名工(卓越した技能者)」表彰を受け、26年秋には黄綬褒章を受章。「多年にわたり溶接工としてよく職務に精励したこと」が評価された。その名工から直接指導を受けた佐藤さん。劇中でも見事な腕前を見せているだろう。

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佐藤健さんが実際に溶接した鉄板。「練習を始めたころは火花が散るのに驚いていたようだが、慣れてくると落ち着いてつなぎあわせていた」と後藤社長

 宮富士工業の社員として同社のヘルメットをかぶり、防護服に身を包んで撮影した。後藤社長は「30分ほどの練習後に本番を迎えたが、溶接トーチを持って作業を行う姿は実に筋が良い。手先が器用なんだね。さすが国内を代表する俳優」と太鼓判。佐藤さんがかぶったヘルメットには直筆のサインが記され、後藤社長は社内に大事に飾っている。

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工場内では白い防護服姿で作業を励む

 同社での撮影は午前8時から午後10時半までみっちり行われた。社員もエキストラで出演するなどさりげなく銀幕デビューを飾った。特別試写会で一足早く作品を鑑賞した後藤社長は「重厚な人間ドラマ。深く考えさせられる場面がたくさんあった。もちろん石巻の皆さんが知っている場所もたくさんある」と余韻に浸っていた。

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佐藤さんがかぶったヘルメットはケースに入れて社内に展示

 「護られなかった者たちへ」には佐藤さん、阿部さんをはじめ、宮城を舞台に放映中の朝ドラで主役を演じる清原果耶さんも出演する。今年は映画と同じく震災から10年の年。石巻南浜津波復興祈念公園や被災した旧門脇小学校の校舎など「石巻の今」を写した場面も多いという。映画のように殺人事件が起きてもらいたくはないが、スクリーンを通じて復興に歩みを進める石巻市を感じ取り、鑑賞後はこの地を訪ねてはいかがだろう。これまでも多くの映画、ドラマのロケ地となった石巻。あなただけのストーリーが見つかるかもしれない。【外処健一】


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