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居合道「範士」称号獲得 県内現役剣士で唯一 東北佐門会主席師範 佐々木さん

 県剣道連盟居合道部会の会長を務め、石巻市中里の道場、東北佐門会主席師範でもある佐々木幹彦さん(65)=登米市豊里=がこのほど、技量や識見、人格に優れた剣士に与えられる全日本剣道連盟(全剣連)居合道最高位「範士」の称号を獲得した。県内では3人目で、現役剣士では唯一の範士受有者。居合の道を40年以上追求している佐々木さんは「導いてくれた師匠や日ごろから支えてくれる仲間のおかげ。私だけの力ではない」と謙虚に語っていた。【山口紘史】

 居合道とは、日本刀の操法に由来する武道で、座った状態で鞘(さや)から刀を抜き、納刀に至るまでを含めた技術。試合では技の正確さだけでなく、修業の深さや礼儀、心構えなども重視される。修錬を重ねることで、人としての心身成熟にもつながるとされる。

居合道最高位の範士称号を得た佐々木師範。技の一つ一つが洗練されている

居合道最高位の範士称号を得た佐々木師範。技の一つ一つが洗練されている

 範士は居合道における最高位であり、取得には長い年月と修業が必要な称号。教士資格を持ち、8段取得後から8年以上経過し、県剣道連盟から推薦を受けることが条件。その後、全剣連の審査会が実績や人格、知識などを評価し、適合と認められて初めて「範士」の称号が与えられる。全国には数百人の8段受有者がいるが、今年の審査会で範士称号を得たのは佐々木さんを含めてたった2人。このことからもいかに狭き門であるかが分かる。

 佐々木さんが居合道を始めたのは23歳の時。東北佐門会の創始者で範士の佐藤保さん(享年81)=元石巻自動車協会会長=の一番弟子として農業や会社勤めの合間に修業を続けた。37歳で6段、43歳で7段、54歳で8段に昇格。全国大会でも優勝を収めるなど試合でも輝かしい成績を残した。

佐々木師範とともに鍛錬を東北佐門会のメンバー

佐々木師範とともに鍛錬を東北佐門会のメンバー

 佐々木さんは「居合道は極めれば極めるほどその奥深さを感じる武道。範士称号を得たのは、身の引き締まる思いであり、ここまで来られたのは師匠(佐藤保さん)の導きだったと思う。今後も後進の育成に励んでいきたい」と感謝と決意を語っていた。

 かつて県剣道連盟居合道部会の会長を務めていた佐藤保さんは自宅横に私設道場を設け、平成16年に東北佐門会を発足。居合道の発展と後進の育成に尽力し、平成28年に逝去したが、妻葉子さんの厚意で道場はいまも開放されており、東北佐門会も保さんの教えを受け継ぎながら活動を継続。現在は15人の会員で鍛錬を積んでいる。

佐藤保さんの私設道場で、佐々木師範指導のもと修業を積むメンバー

佐藤保さんの私設道場で、佐々木師範指導のもと修業を積むメンバー

 居合道は一見、敷居が高いように思えるが、佐々木さんは「初心者の方でも大歓迎。私たちが一から丁寧に指導をする。まずは気軽に見学に来てほしい。居合の精神を学び、ともに心身を鍛えましょう」と入会を呼び掛けている。問合せは事務局の日下さん(090-9535-1098)まで。


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