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駅前に戻ったふれあい朝市 会場定着で来場者増期待

 毎月第1、3日曜の早朝イベント、石巻ふれあい朝市が古巣の駅前に戻って4カ月経った。会場が以前に近い石巻駅前にぎわい交流広場(旧自転車置き場)となり、市役所立体駐車場も利用できるため、客足も徐々に伸びている。運営委員会は駅前開催を定着させることで来場者の増加を目指している。

 朝市は、旧駅前にぎわい交流広場が完成した2カ月後の平成10年6月にスタート。石巻地方の地場産品を消費者にPRしながら、まちなかの活性化を図ろうと、水産、農業団体が中心になって運営委員会を立ち上げた。今も運営委員会(伊藤忠委員長)が主催する形で冬期を除く4―12月に開き、15業者前後が出店している。

 スタートから間もなく四半世紀だが、東日本大震災後は再三会場を移した。長年、定着していた旧駅前広場が病院用地となったためで、ロマン海遊21前やその周辺、そしてこの2年間は中央のいしのまき元気いちば隣で実施した。

 この間、駅前に通い慣れた人の足は遠のいたが、昨年新たな駅前広場が整備され、今年から再び駅前に戻った。これを機に、市役所の立体駐車場も朝市のある日は通常より2時間早く午前6時から開放。車で訪れる人たちにも利用しやすくした。

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駅前の朝市で買い物を楽しむ人たち(9月19日)

 今年は当初4月開始を予定していたが、新型コロナの影響で2カ月遅れの6月からとなり、また、緊急事態宣言中の9月6日も中止した。宣言解除の19日は彼岸入りでもあり、花を目当てに来場する人も多く、いつも以上にぎわった。屋外とはいえ、各店舗は感染予防にも取り組んだ。

 駅前界隈は高齢や交通手段がないなどの理由で、自由に買い物に出かけることができない人たちが多い。「普段はイオン(市役所1階)に行っている」という鋳銭場の相沢恵子さん(84)は、朝市の常連だが、会場が中央に変わってからは「あそこまで行くのが大変。この2年間はご無沙汰していた」。そして「また近くなったので、よかった」と歓迎する。

 同じく開始時から訪れている蛇田の中沢さつ子さん(74)も、駅前に戻ってから再び足を運ぶようになった。「やはりこの場所がいい。私たちのような年寄り世代は、魚や野菜など地元の食材が手に入るこうした場は必要だし、いろいろ見るのが楽しい」と語り、店の人と会話しながら品定めしていた。

 市民とともにターゲットとする観光客の姿もあった。田代島での鳥類調査で訪れた千葉県の平田和彦さん(35)は、夜行バスで仙台入りし、その後、仙石東北ラインで石巻駅に到着したばかり。「旅先で地元ならではの食べ物を手に入れることができるのはうれしい。コンビニにはない味」と笑顔をみせた。

 伊藤委員長は「中央で2年続けたので通い慣れたお客様には申し訳ないが、ここで定着すれば、来場者もまた増えるのでは。そのためには各店も感染予防はもとより、よそにはない目玉商品を出すとか、よりサービスを高めるとか、努力していきたい」と話していた。

 なお、新型コロナの影響で大漁まつりが中止となったため、当初見送る予定だった17日もいつも通り開催。伊藤委員長は「海の幸や里の幸など秋の味覚がそろっているので、たくさんの人に足を運んでほしい」と呼び掛けている。【平井美智子】


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