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〝最後の夏〟清々しく 湊中野球部3年生3人引退で休部 合同女川中に「感謝」

 石巻地区中総体の代替となる交流大会が競技ごとに行われ、29日までに全12競技中7競技を終えた。軟式野球では女川・湊中の合同チームが1回戦で河北中に惜敗。部員不足の湊中野球部は、全部員の3年生3人がこの試合を最後に引退し、休部となった。敗れはしたが、3人はコロナ禍でも最後まで野球ができたこと、そして支えてくれた女川中の同志に感謝の思いを伝え、グラウンドを後にした。【山口紘史】

 石巻地方では少子化に伴い、スポーツ少年団の団員不足が深刻化しているが、中学校でも競技人数が集まらない部も頻出している。
 全校生徒68人の湊中も例外ではなく、運動部はテニス、卓球、バスケットボール、野球の4つのみ。野球部も年々部員不足が顕著になり、昨年度からは女川中と合同チームを組んで大会に出るようになった。

 合同チームは昨年の中総体地区大会で優勝し、県大会で8強入りするなど輝かしい成績を残したが、少子化の波にはあらがえず、本年度の湊中野球部は3年生3人で始動。卒部後は部員がいなくなるため、交流大会後は休部が決まっていた。

湊中野球部最後の夏 交流大会終了で休部へ

2年間ともに戦った絆を分かち合う(前列左から)湊中の小山、阿部緋、須田選手と(後列左から)女川中の阿部竜、村上選手 

事実上最後の大会であり、女川・湊の合同チームで戦えるのも最後。チームはブロック優勝で有終の美を飾ることを目指し、トーナメント初戦に臨んだ。

 先攻の合同は初回に1点を先制するもその裏に5点を奪われ、追う展開。四、五回には2点ずつ返し、一時は1点差まで詰め寄ったが、後半に河北打線の猛攻を受け、5―11で敗れた。メンバーの顔に後悔はなく、むしろ最後まで戦い抜いた充実感がにじんでいた。

3打数3安打と活躍した小山選手

3打数3安打と活躍した小山選手 

 湊中の小山弥鷹三塁手(3年)は「悔しさよりも楽しさの方が大きかった。コロナ禍の中でも野球ができたことは幸せ」とすがすがしい笑顔で答えた。須田祐茉左翼手(同)も「女川のメンバーがいなかったら大会に出ることもできなかった」と2年間一緒に戦った仲間に感謝を込めた。

左翼で堅実な守りを見せた須田選手

左翼で堅実な守りを見せた須田選手

 主将の阿部緋呂翔遊撃手(同)は、休部に対して「生徒数が減少している現状では仕方なく、いつか復活してほしい。苦しいこともたくさんあったが、3人で支え合い、ここまで来られたことに満足している」と語った。

(左から)女川の阿部竜成主将と湊の阿部緋呂翔主将がチームをまとめた

(左から)女川の阿部竜成主将と湊の阿部緋呂翔主将がチームをまとめた

 一方、女川中の阿部竜成投手(同)は「できるだけ長く、このメンバーで戦いたかった」と唇をかんだ。村上悦志中堅手(同)も「湊中の3人は信頼できる仲間。一緒に成長できたことをうれしく思う」と話した。

 湊中野球部は幕を閉じたが、積み重ねた3年間の努力は決して消えることはなく、女川中と培った絆も部の歴史に深く刻まれた。3人は高校でも野球を続けることを考えており、再びグラウンドで顔を合わせる日を夢見て湊中のユニホームを脱いだ。


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