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家で楽しむ「石巻川開き」 コロナ禍でも伝統文化継承 ミニ七夕飾りや茅の輪づくり

 新型コロナウイルスの影響で石巻市最大のイベントである「石巻川開き祭り」が中止となる中、一般社団法人石巻青年会議所(JC、立花善孝理事長)は祭りが開催される予定だった夏に向け、伝統や文化を途絶えさせないための取り組みを進めている。祭りのシンボルとも言える七夕飾りのミニ版を自宅で作る企画のほか、無病息災を願う茅の輪づくりを実施。コロナ禍でもできる限りの工夫で伝統をつなぐ。【熊谷利勝、近江瞬】

小さな夏の思い出に

 JCまちづくり委員会では、子どもたちに自宅に居ながら祭りの雰囲気を味わってもらう「おうちで川開きプロジェクト」を展開している。特設のホームページを立ち上げ、祭り会場を彩っていた七夕飾りのミニ版を作る方法を動画で紹介。出来上がったものをSNSで発信するなどし、今年だからこその思い出を残してもらう。

 作り方を紹介している七夕飾りは、大小2サイズ。家族や友だち同士で制作を楽しむだけでなく、手作りの七夕飾りと一緒に撮影した写真を8月31日まで募集している。

 受付はSNS(インスタグラムまたはツイッター)上で「#おうちで川開き」のハッシュタグをつけて写真を投稿。またメール(info@i-jc.net)でも写真、動画にペンネームや作品のコメントを付けて送ることができる。応募作品は特設サイトで年内いっぱい紹介。今月29日までの応募作品の一部を集約して石巻JCの広報誌などに掲載するほか、石巻市かわまち交流センターでも8月3―11日に展示。手作りした高さ4メートルの七夕飾りも2つ設置する。

 企画した同委員会の木村亜梨沙委員長(29)は「市民が楽しみにしている祭りが中止になり、JCとして何かできないか考えた時、街なかの七夕飾りが思い浮かんだ。〝おうちで川開き〟を親子で楽しんでもらい、来年の開催に願いを込めてもらえれば」と多くの参加を呼び掛けている。

無病息災の願いを

 JC祭り委員会は11日、同市湊の宮城エキスプレス(株)車庫で石巻市千石町の縄張神社に奉納する茅の輪づくりを行った。茅の輪は2基制作し、一つは8月1日に奉納。もう一つは市かわまち交流センターで同日―8日まで展示する。

石巻青年会議所JCが川開き中止でも文化継承 (49)

奉納と展示に向け茅の輪づくりに励んだ

 同神社は川村孫兵衛が北上川改修の際に使用した測量用の縄を納め、「縄張大明神」として祭ったのが起源とされる。茅の輪奉納は古くから行われてきたが、いつしか途絶え、同委員会が平成18年の大縄引き大会実施に合わせて復活させた。

 祭りの中止で大縄引き大会も見送りとなるが、同委員会はこのコロナ禍の今こそ、無病息災を願う本来の奉納の意味を知ってもらおうと茅の輪制作を継続。会員16人が集まり、汗を流しながらワラと麻ひもに思いを込め、直径180センチの茅の輪2基を仕上げた。

 同委員会の山内浩史委員長(39)は「これまでは縄引きに注目が集まっていたが、こうした時だからこそ先人たちの平穏な日々への願いを継承し、発信したい」と語っていた。

 特設サイトには七夕飾りの由来、大縄引き大会の初開催を含む祭りの歴史も写真付きで紹介している。


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