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市政の行方① 止まらない人口減少 望む持続可能なまちの議論

 任期満了に伴う石巻市長選(18日告示・25日投開票)が迫る。現職の亀山紘市長は4選不出馬を決め、16年ぶりに新人同士の戦いとなる。東日本大震災の復興に一定のめどがついた市政は現在、新型コロナウイルスの対応が急務だが、人口減少や女川原子力発電所2号機の再稼働など地域課題は山積。復興完結とその先を見据え、石巻の〝市政の行方〟を見ていく。【熊谷利勝】

40年後は7万人台?

 2005年(平成17年)に合併で17万人都市になった石巻市。23年の震災では約4千人が死亡、行方不明となったほか、市外転出が進み、2015年(27年)の国勢調査における人口は14万7236人となった。この人口をもとに、県が今年3月1日時点で推計した人口は13万8856人まで減少している。

 震災で大きく減ったのは間違いないが、合併前の1市6町を合算した国勢調査人口は、1985年(昭和60年)をピークに一貫して減り続けていた。13万人台は戦前の水準。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の推計によれば、何ら対策を講じなければ今から約40年後には7万人台にまで半減するという。

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 2015年国勢調査の旧市町別人口は石巻10万3088人、河北1万1097人、雄勝1021人、河南1万9670人、桃生7460人、北上2430人、牡鹿2448人。被災した沿岸部の雄勝は2010年人口の4分の1ほどになり、内陸の河南は約2700人増えた。石巻も郊外の住宅地の開発などによって、中心部の空洞化が進んだ。

 半島沿岸部は高台に移転団地が整備されたが、いまだ空き区画も多い。被災した人向けに整備された団地であり、地縁がない他所から人を呼び込むにはハードルが高い。

 震災の影響を除けば人口減少の要因で大きいのは自然減。少子高齢化が進んでおり、ここ数年は1年間で2千人近くが亡くなっているのに対し、生まれる子どもは千人に満たない。転出も多いが、転入との差は600人ほど。自然増減を政策的に操作することは困難だが、魅力的な街づくりで転出入による社会増減は対処できる余地がある。

 人手不足で互助活動や行事の開催が困難になり、現に「みこしの担ぎ手がいない」などはよく聞かれる。これは比較的転入が多い市街地部も同じ。若い世代が移り住んでも地域とつながりは薄く、自治会などの担い手になりにくい。以前からの住民は高齢化し、跡取りがいないなどの理由で空き家も増えている。

 社会経済が縮小し、地域の伝統産業や文化の継承も難しくなるのが人口減少の意味するところ。高齢者の日常の買い物や公共交通の問題は、現実の課題として突きつけられている。全国的な少子高齢化で人口減少は避けられないが、減少を緩やかにする移住・定住施策は重要だ。

 人が少ないから必ずしも不幸せとは限らず、遠回りでも住んでいる人の満足感を上げることが定住につながる可能性がある。亀山市政は人口減少しても活力あるまちづくりを目指してきた。結果は出ておらず、市民からは「市長選で持続可能なまちづくりを議論してほしい」との声が聞かれる。


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