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ミュージカル 「100通りのありがとう」出演者が新劇団旗揚げ

震災伝承これからも

 昨年、東松島市と石巻市で上演された「心の復興13回忌ミュージカル100通りのありがとう」の出演者らが、新たな劇団を設立した。その名も「劇団100通りのありがとう」。出演を通してできたつながりを大切にしようと、多くが再結集した。イベントでの歌や踊りの発表を模索しながら、東日本大震災の記憶と世界から寄せられた支援への感謝を伝えていく。

設立された劇団のメンバー(2月11日)

 ミュージカルは石巻地方の住民ら約100人がおととし8月から練習を重ね、昨年3月に東松島市、6月には石巻市で上演。全員が素人の笑いあり、涙ありの舞台は、震災での多くの犠牲や支援への感謝を忘れず、前を向いて生きていく決意に満ち、地元の観客の共感を呼んだ。

3—82歳の約50人参加

 新たな劇団は3―82歳の約50人で旗揚げ。2月11日に東松島市野蒜の亀岡集会所で設立総会があった。
 練習は同集会所で月1回、震災の月命日に当たる11日前後の日曜。昨年の公演と同様、数々の市民ミュージカルを手掛けてきた寺本建雄さん(77)=東京都小平市=が〝座付き作家〟となり、可能な限り足を運んで指導する。初回と2回目の練習では、能登半島地震被災地に向けた応援の歌とメッセージの動画を撮影した。

 引き続きの参加となる矢本第一中学校2年の中村芽衣さん(13)は「自分が経験していない震災を知りたい」というのが最初の動機。「たくさんの参加者と話して震災を学べた。自身がついた」という。

能登に向けた応援の歌や踊りを動画撮影した(3月10日)

 昨年を一区切りに参加を見送る人がいる一方、新しい仲間も。同中学校2年の庄司紗那さん(13)は「東松島公演を見て感動した。震災は風化させてはいけない。話を聞いて自分にもできそうと思った」と話した。東松島市大曲浜の自宅が全壊し、石巻市小船越に住む今野優子さん(67)も「公演を見て、仲間がいる、一人じゃないと思えた」と勇気を出して参加することにした。

 昨年の公演の実行委員長であり、新しい劇団の団長になった菅原節郎さん(73)=東松島市新東名=は「出演者同士のコミュニティーができ、昨年の公演で終わりにするのはもったいない。地域に貢献しながら、支援してくれた人たちに元気な姿を見せ続けたい」と続ける意味を語った。「世界に感謝を伝えるにはこの上ない」と、来年開催する大阪万博の一般参加催事の出演を申し込んでいる。

 劇団では随時、団員を募集しており、連絡先は菅原さん(090―5838―3074)。【熊谷利勝】


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