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甘味は優しいお姉さん

なんでも食べたい食いしん坊なのですが、食で身体を整えることを実践しているし、そんなお仕事をしているので、実は「なんでも」は食べていません。
職場や友人たちも食生活に気をつけている人は多いですし、健康オタクな人たちも沢山いますが、彼らもまた「なんでも」は食べていない人たち。
そんな人が集まって話をしている時。
とかく悪者にされやすい「五味」の一つが、「甘味」です。

甘味=砂糖=身体に悪い=食べちゃダメ

そんな風に扱われることが多いのだけれど、その度に「うーん」と腕組みしてしまう。
砂糖の害については、様々な研究や書籍、専門家の先生の話から、最低限の知識はあるものの、そんな風に扱われてしまう砂糖をはじめとした「甘味」という存在をかわいそうに…と悲しく見つめてしまうのです。

東洋医学でいうと、「甘」は身体を緩めてくれるという存在。
仕事や勉強で疲れると猛烈にシュークリームが食べたくなったり(私)、友達とゆっくり話したい時には、お茶と一緒にスイーツが欲しいよねってなったり(私)。
気持ちを柔らかくほぐしてくれる、それが甘味のいいところ。

例えば砂糖やメープルシロップ等は、甘さという味のほかに、料理をしっとりさせてくれる保水力という役割を持っていますが…。
カッサカサにやさぐれてしまった気持にも、潤いを与えてくれるんですよね。
「あーもうやってられないよ!」っていうところに、フワフワした甘いものを食べると、「でもまぁ、仕方ないところもあるよね。うんうん。」ってなったりしませんか?

煮物の甘味は、醤油の塩辛さを和らげてくれます。
醤油+甘味の組み合わせは、日本人の大好きな味。
酢のものの甘味は、酢のツーンとした酸を和らげてくれます。
酢+甘味の組み合わせは、食事中の箸休めにぴったり。

「甘・辛・酸・苦・鹹(塩辛い)」
五味の中で、甘味って手を繋ぐ相手のクセの強さを中和してくれる、優しいお姉さん。
フワッとしたロングヘアーで、しっとり肌の二の腕はちょっとぷにっとして、Dカップくらいの柔らかな優しいお姉さん。
真面目だけどちょっと頑固な塩辛い兄と、酸っぱく口を尖らせて拗ねた妹の間に入って、いつもニコニコしてる優しいお姉さん。
すぐに食材や料理を擬人化してしまう私の脳内では、そんな家族の一コマが浮かび上がっているんです。

正しい=間違ってる
良い=悪い

健康に気をつけている人であればあるほど、食材に善悪を与えてしまいがちです。
でも本来、どんな食べものにも絶対的な正しさもなければ、完全なる悪もないんじゃないかなぁ。
頑固なだけじゃない兄のように、拗ねてばかりじゃない妹のように。
食材のある一部分だけにフォーカスして、これはいい、これはダメって食べていたら、なんだか疲れてしまいそう。
実際、頭を使って食べるのことは消化によくないんです。
もちろん偏ったり摂り過ぎたりは、よくないって思うけれど…。
甘味を邪険にしないで!お姉さんが泣いちゃう!

いいところも悪いところもある。みーんなそう。
それぞれの個性を受け入れて、いい距離感を皆それぞれに保ってお付き合いするのがいいよね。
優しいお姉さんによしよしってされたい時もある。それは悪いことじゃない。

なんでも擬人化シリーズ、続きそうな予感です。

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