おしえてあげたい


そうじゃないっと
泡だらけの食器から
聴こえた方へ顔を向ける

真顔でじっと姉の手元を見つめる妹と
眉間に皺を寄せ机の前に立ちはだかる姉
終始強い言い方で
私がやるのを見ててねと
彼女の手からペンとノートを奪い取り
やってみせたはいいものの
任せたその3秒後
ちょっと間違えようものならば
語気を荒げて注意する

教えてあげているようで
出来ない箇所の指摘をする

キッチンから眺めていた私は
第三者になっていた

いつかの私の姿をそこに見ていた

しかし そんな彼女にかけた言葉は

もうちょっと優しく言ってあげられないかな

あの時の私が欲しかったのは
この言葉だったろうか

必要だったのは
何の言葉だったのだろう

正に今この時の気持ちかな

わかるよわかる、教えてあげたいんだよね
一回何も言わずに見てあげてから
落ち着いて言ってみたらいいかもね

んー何だか違うよなぁ

一行目も引っかかるし
二,三行目なんて
出来るならやっとるわー
と 逆撫でしそうだ

難問だ

そうか
また私は口を出そうとしているではないか

今気づいたつもりで
また同じことを
恐ろしい

一度口出さずに見守ってみよう
そのやり取りで何かをお互いに感じる
正に姉はあの時の私のように
強く言いながらも何か違うなぁと
心でモヤモヤと抱えているかも
はたまた
こうじゃないと話きかないんだからと
強く言う方法しか見出せずにいるのかも

どちらでもいい どちらでなくともいい


何か起こったら 助けを求められたら
私の意見を落ち着いて言ってみよう
教えるのではなく そうだねぇと私の意見を

そうか
私は今日もまた 第三者のつもりでいた

あの時の私 これでいいかな

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