イベントの更衣室の問題にはもっと本質的な答えがあるよ
ケモコス会での騒動があったときに、Xを見て思ったことです。
8割の人は忘れてそうなので。
主催はお疲れ様でした。参加者の方は、部外者が好き勝手に言って嫌な思い出を掘り起こしてしまって申し訳ありません。だけど、いきなりこの記事を公開するよりかは、少しでも関係者の気持ちが整理できてからのほうがまだ良いかな……と思い、時間を置かせていただきました。
公になった失敗にはイベント主催で大切なことが詰まっています。
失敗から学べることは、成功から学べることよりもずっとたくさんあります。
今回は、次の主催に活かせることをまとめていきます。
まとめ
というか、言ってること自体はみんなが言ってることと変わりません。
主催サイド
主催は開催前に、もうちょっと主催についていろいろなことを知れるとよかった
スタッフに企画書見せて訊くとか
コネや知識がないなら、イベントスタッフをやるとか
本人がキャパオーバーだと感じているならなおさら、抜けが増えるのは確実なので周りへのヘルプを出さないとパンクする
参加者や他スタッフへのヒアリングをしていれば防げたかもしれない事故ではある
どんな人が来るか? というのはよく考える必要がある
ケモノ界隈はいろんな人がいるので
イベントの説明が不足していた
どんな場所で、どんな導線で、どんな着替え場所を用意しているか、もしくは何らかの事情で用意できないのならそのことを説明しているか、という部分が不足している
プライバシーを保証する最低限の更衣室環境すら保証できないのなら事前にコミュニケーションを取る必要があるし、取れないのなら最低限の場所は保証するべき
顔の写り込みは非常にシビアな問題なので、とにかく気をつけること
参加者サイド
不安だったり嫌だったりしたとしても、とにかくその場でスタッフに言うこと
時間が経つと、その場で対処できたかもしれないことも対処できない
後からXで言われても主催はどうすることもできない
嫌ならすぐに参加をやめて帰ってもいい
イベントの更衣室について
まずは、直接的な対処方法から。
更衣室に関しては部屋を明確に分けて、窓があるならそこを全部隠すぐらいしかないです。パーティションいい感じに置いて、極力出入り時に見えないようにするのも大事。それができるか、会場の下見の時点でよく確認しておくべきです。
まあ、とはいえ、ケモノイベントの更衣室ってマジでガバガバなこと多くて、特に男子更衣室なんかたまに丸見えでもう人権なかったりするので、あれもどうしたもんかなとは思ってます。限られたスペースに大量の荷物詰め込む都合上、ある程度はしょうがないんですけど。
サバゲーフィールドみたいに、どうやってもまともな更衣室が用意できない環境の場合は、事前にその旨書いておいて、参加者に事前に念入りに説明したうえで、どうしてもその環境じゃ難しいですって人を弾くみたいなのはある程度は致し方ないと思います。
主催が準備できる金や資源だって限度があるし、物理的に更衣室を用意するのが不可能ならそりゃ無理ですから。
人とのコネクションを作ろう
じゃあどうやって気づくのか。
分からないことが分かってるなら、自分で調べるか他人に訊きましょう。
イベント運営なんかは経験とノウハウが占める割合のほうが多いので、歴戦のイベントスタッフに訊いたほうが効率も良いし、抜けに気づきやすいです。
でも、分からないことは本質的には訊けません。
そもそも、トラブルが起こるまで分かってないことに気づかないからです。
それに、スタッフの知り合いがいない人も多いでしょう。
これは、対処方法が2つあります。
1つ目は、知識、経験と信頼関係ができてから1人でイベント主催をやること。
他のイベントのスタッフやボランティアから下積みして、十分な知識と経験、信頼して仕事を頼める知り合いと人間関係が築けてから、イベントを立ち上げる方法です。
2つ目は、複数人でスタッフをやること。
「え? でも一人だし……知り合いに相談できそうなスタッフもいないし……」
そう、主催は一人です。
でも、イベントにスタッフをいくらでも呼ぶ裏技があるんですよ。
コミケで、「全員が参加者です」って言葉を聞いたことないですか?
コミックマーケットでは参加者はお客様ではなく、運営、スタッフ、サークル参加者、一般参加者全員が支え合ってイベントが成り立っているからです。
同様のポリシーは、西与野ポリシーにも書かれています。
つまり、参加者に訊けばいいんですよ。
ヒアリングは大切
よく、イベントスタッフってXでスペース開いてますよね。獣ヶ島のたけふじ狐さんとか。
JMoF、Kemocon規模のスタッフはコンプライアンスもあるので、イベント後に打ち上げしつつ駄弁ってますね。
あれ、ただ雑談して遊んでるわけじゃなくて、ちゃんと参加者やスタッフ同士のコミュニケーションっていう目的もあるんですよ。
何があると良いよね、こういうリスクがあるといいよね、みたいなのを自分たちで決めていく作業でもあるんですね。
事後であれば、こうやったほうがよかったよね、こうすればもっとうまくいったね、これはよかったね、みたいな反省会。
これには2点良いことがあって、
参加者、スタッフ間で相互に信頼関係が築ける
事前、事後に生の声をヒアリングできる
ということが挙げられます。
つまり、イベント中に発生しそうなヤバいことがあったら、事前に歴戦の参加者が教えてくれるんですよ!!!
経験がないならないなりに、うまいこと人に訊く術を身に着けてみてください。Xのスペースは録音機能もあるし、一番手軽だと思います。
主催には説明責任がある
基本的には、主催は参加者ができるだけ気持ちよく参加できる環境を可能な範囲で用意すべきです。もしどうしても準備ができないのなら、主催には事前に説明責任がある、ということです。
オープンなイベントは、難易度が上がるうえに、言い訳ができない
ロケハンの時点で更衣室のことは相当考えます。更衣室が用意できないロケーションはそもそもロケハンの時点で避けます。もしくは、完全クローズドイベントにして、過酷な着替えに耐えられる身内、キャラしか呼びません。
オープンなイベントを開催するということは必要な想像力が何段も上がるということであり、考慮すべきケースも膨大に増えます。それを、個人一人で網羅するのは無理です。
だから、前述の通り、スタッフのコネを作ったり、参加者にヒアリングしたり……っていう企画段階~事前準備のフェーズが大切になるんですね。
初心者でも許されないトラブルと事故
「キャパオーバーで……」が言い訳にはならないトラブルは存在します。
人命に関わること。
個人の尊厳やプライバシーに関わること。
参加者や会場の資産、物を損壊すること。
一般の方に不快な思いをさせること。
子どもに怪我をさせること。
これらは一度の失敗で一発アウトです。
どうやっても取り返しがつきません。
主催の立場になったからには、あなたはトラブルに対して責任を負います。
初心者だから、素人だから……は言い訳にはならないのです。
楽しいイベントだからこそ、それにともなうリスクを把握し、事故やトラブルを発生させないよう何重にも対策・準備をして、参加者にもそれを理解させ、徹底させることが必要なのです。
参加者がイベント中にトラブルに遭ったら
不快な思いをさせてしまって申し訳有りません。
私がスタッフをやっていたり、主催をやっているイベントでもそういうことが少なからずあったと思います。
だけど、我慢してくれて、もしくは正直に伝えてくれて、本当にありがとうございます。
そのうえで、一つお願いがあります。
トラブルがあったその場で伝えてください
何かあったときに、時間が経ってしまうと状況があやふやになりますし、その時だったら対処できたことも対応できなくなります。
さらに、Xで書き込まれてしまうともう主催には何のコントロールもできません。
Xに書き込んだときは、もう「何を言ってもダメだ、伝えてもしょうがない」という気持ちだったから書き込んだんだと思います。
誰も支えてくれない、自分だけが傷ついて、助けてくれない。
怖かったことでしょう。辛かったことでしょう。
だけど、せめてその場で言ってくれれば、まだ何かできたかもしれません。
別に帰ってもいいんだよ、と言いたい
本当にその環境が嫌なら、その場で帰ってもいいんですよ。
ぼくは、不快なイベントは普通に金払っててもすぐ帰ります。
そして、二度と行きません。
きっと、その場の流れとかでそう言い出せなかったんだと思います。
だけど、イベントに行くのは楽しい思いをしたいからで、つらい思いをしに行ってるわけじゃないです。
不快だと思ったら、適当なタイミングで切り上げて帰ってもいいんですよ。
仕事でもない。趣味なんですから。
まとめ
とにかく、悪いことが重なって起きてしまったので今となってはしょうがないことなのだと思いますし、どこかで歯車が噛み合ってれば防げたのに……という思いもあります。
この記事では、更衣室と写真の写り込みという今回の直接的な問題から、主催がノウハウを学べる場所がない、というより本質的な問題までに触れ、その解決案について書きました。
スタッフやボランティアで下積みする
他の歴戦のスタッフや参加者に訊く
ロケハン、参加者の導線設計はしっかりとし、最悪のトラブルだけは絶対に回避
参加者はトラブルはその場でスタッフに報告する
主催ノウハウを界隈全体で蓄積する
主催としての手助けやノウハウの伝授をできなかった私のような先輩にも少しずつ責任はあります。
やる気のある新参者が少しずつイベントスタッフとしてステップアップできる環境が整っていけば、もうこういう問題は起こらなくなるはずです。
この記事を読んだ私たちには、イベントスタッフのノウハウを学べる環境を整備する、というイベントに関わる全員が解決すべき課題があります。
二度と同じことを起こさないよう、私たちみんなで次へ活かしましょう。
余談
写り込みについて
あ、あと顔の写り込みは「次から気をつけろ」で終わりです。まあ、単なるミスなのでとやかく言う事はないです。(もうちょっと規模が大きくなってくると広報のチェック体制が云々……とか出てくる)
警備いらなくない?
あとは、当事者ではないので本当のことは分かりませんが、警備やスタッフが足りないこと自体はあんまり問題じゃない気がします。というのも、仮にこの規模のオフで3人以上にスタッフ増やすと逆に仕事が増えます。警備? シフトどうすんねん? って話です。
一定人数以上になったら女性スタッフも必要になるけど、まだそういう規模じゃないよねっていうことです。今回の問題、単に部屋分けて視線処理だけすればほぼ対処できるんですよ。
最低でも更衣室のシフト回すなら60分交代でも6時間で6人必要だぞ? ってなります。18人しかいないイベントでやるのはさすがに無理です。いきなりはつじゅー会やるわけじゃないんだから。
あと、わざわざTwipla使ってるなら20、30人ぐらいの全員のXは監視できるので、どんな参加者来るかは全員把握できます。他のイベントで出禁食らってるような人が来たら一瞬でわかるんで、出禁クラスの人が来るか、監視できないほど人数が増えてから警備体制強めればいいんです。
つまり、警備が必要なのはオープンなイベントで、かつ主催の目の届かない人数が参加する場合や、なんらかのリスクの高い会場を使用する場合です。オープンイベントではやべー奴が紛れ込むリスクを回避できません。あとは、危険な環境での撮影会みたいな、一歩間違えれば人命に関わるようなイベントでは警備(というか、この場合はアテンド?)も必要になります。
警備は、リスクに対し、参加者や会場によって一定割合で必要になります。主催の能力にもよりますけど、高々30人ぐらいの普通の会場なら全員主催の目の届く範囲にいるはず。
(高々20~30人規模のオフなら、別の中~大規模イベントのスタッフをやったりして、スタッフできる人間を気兼ねなく話せるレベルの友だちとして作って、イベントの参加者に混じってるみたいな関係の作り方したほうが主催は何の苦労もしなくて済むと思います)
こういうのも、スタッフ長年やってる人に訊けば一瞬でわかるんで、訊きましょう。
訊く相手だけは間違えないようにな!
約束だぞ!