見出し画像

帝京高校の復活へ【前編】

年末年始になれば何かと名前を聞く高校名。「帝京魂」こと帝京高校。
「Teikyo」の字が浮かぶ黒い縦縞のユニフォームと、高校生離れした屈強な肉体。そして破壊力のある打線は凄みがあり、他を圧倒する風格を持つ。

画像1

昭和53年・1978年の選抜甲子園で初めて甲子園の土を踏むと、その後2020年まで春夏合計26度の出場。その内3度の全国制覇を果たした名門校である。

そして1978年の初出場から現在までチームを率いるのは名将「前田三夫」監督である。

画像2


部員数僅か「4名」のチームから見事全国制覇まで導き、これまでに合計27名のプロ野球選手を輩出している。

他、プロ野球選手にはなれずとも、各業界で大活躍している野球部出身も多い。
(例:とんねるず「石橋貴明」・野球YouTuber「トクサン」・音楽ユニット「ONE☆DRAFT」等)

「勝利至上主義」を掲げ、徹底的に勝負に拘る指導法と、時には非情とも取れる戦術は多くの波紋を呼び甲子園のヒールとして君臨していた。
それでも圧倒的なカリスマ性と魅力を持ち、東京のみならず全国的にファンも多い。

だが強豪として君臨していた「帝京」も2011年を最後に甲子園への出場を果たせずにいた。
2014年には現ヤクルトの「清水昇」を擁し決勝まで勝ち進んだが、「二松学舎」の前に敗れ3年振りの出場を逃すと、以降は10年、決勝まで勝ち進めずにいた。

秋季大会・春季大会。そして夏の東東京大会予選と上位には姿を見せるも、関東第一・二松学舎といった東東京の強豪を前に涙を呑んできた。

【2012年以降夏季東東京大会戦歴】
●2012年準決勝敗退 国士舘5 -2帝京
●2013年5回戦敗退 修徳4 -2帝京
●2014年決勝敗退(準優勝)二松学舎5 - 4帝京
●2015年準決勝敗退 関東第一 8 - 3帝京
●2016年準々決勝敗退 城東7 - 6帝京
●2017年準々決勝敗退 東海大高輪台4 - 3帝京
●2018年準決勝敗退 小山台7 - 2帝京
●2019年準々決勝敗退 日大豊山1 - 0帝京
●2020年決勝(優勝) 帝京3 - 2関東第一

戦歴・成績を見れば充分に東東京の強豪として申し分ないが、帝京高校としては長らく甲子園から遠のいた歴史は無かった。

だが2019年に前田監督も手応えを掴んだチームが出来上がる。
2019年秋季大会では下級生から経験を積んでいた多くの選手がレギュラーとして残った。
投手陣は大型左腕・田代。速球派の右腕・柳沼。打っては1番打者としてチームを引っ張り、2年夏から背番号「1」を背負う・武者の3枚看板。
主将として厳しくチームをまとめ上げ、前田監督も「過去1番の主将」と絶大な信頼を置く・加田をはじめ、1年から東京選抜としてキューバ遠征に選ばれた・小松。1年夏からレギュラーに定着し、同じく監督の信頼も高い・武藤など、打者陣の戦力も整った。

画像5

前評判の期待通り、この秋「帝京」は勝ち続けた。
秋季大会3回戦では「関東第一」を撃破。続く準々決勝では「日大三高」を接戦の末に見事勝利。準決勝では「創価」を相手にサヨナラ勝ちを収め、秋8年振りの決勝進出を果たした。

画像4

相手は2年連続の優勝を目指す「国士舘高校」。
かつては同じ東東京として何度もぶつかり、鎬を削ってきた強豪校である。
勝てば10年振りの春の選抜大会への出場が確定する大事な1戦。

しかし優勝旗の前に国士舘高校エース・中西が立ち塞がる。
今大会、長打力に加え、小技・走塁を絡めた抜け目ない帝京の攻撃を僅か2安打に封じ込み完封勝利。2年連続の優勝を目の前で見届ける形となった。

画像6

その後、選抜出場の候補に選ばれるも惜しくも落選。
10年振りの甲子園出場は果たせなかった。

だが秋季大会準優勝の実績。そして目の前で優勝を逃したチームは悔しさを夏にぶつけるべく、より自らを追い込み鍛え上げた。

伝統である冬の体力強化期間。アップは体幹トレーニングを中心に取り組み、その後は投手が登板する実戦練習、夕方になると、ウエイトトレーニングやエルゴメーターなど器具を使ったトレーニングと、実技とトレーニングをしっかりと詰め込みいじめ抜いた。

成果は前田監督が「身体が大きくなっていて楽しみ」と言うほどに成果は現れていた。

だが2020年にコロナ禍により選抜・及び春季大会は中止。
学校も休業に入り自粛を余儀なくされた。

【帝京高校野球部概要】

画像3

【創立】1943年
【住所】173-8555 東京都板橋区稲荷台27-1
【甲子園最高成績】
1992年選抜高等学校野球大会優勝 (帝京3 -2東海大相模)
1989年全国高等学校野球選手権大会優勝 (帝京2 - 0仙台育英)
1995年全国高等学校野球選手権大会優勝 (帝京3 -1 星稜)
【練習日時】※例
平日:14:30~19:00(全体練習)
19:00~21:00(トレーニング:自主練習)
土日:練習試合 / 09:00~19:00/13:00~19:00(練習)
【休み】年末年始
【部員数】56名(2021年現在)
【寮】無し
【主なOB】伊藤智昭(元ヤクルト)奈良原浩(楽天2軍監督)吉岡雄二(日ハム2軍打撃コーチ)中村晃(ソフトバンク)清水昇(ヤクルト)等。