父、Podcastにハマる

うちの父も70歳を超えて、ついに仕事を引退した。

父は仕事をしている頃、いつもラジオのJ-WAVEを聴きいていた。
だから最新の音楽シーンにとても詳しくて、私が思春期の頃もよく音楽の話をした。
デビュー間もないクラムボンのCD「パンと密をめしあがれ」を買ってきて、その存在を教えてくれたのも父だ。

父は「クリス智子が話してたんだけど」とか「今日もピストン西沢がさ~笑」みたいに、よくJ-WAVEネタを披露していた。
まったく興味がなさそうな母の隣で。
でも、ピストン西沢の夕方のラジオがなくなると、父はあまりJ-WAVEを聴かなくなった。

そして昨年、父はとんでもない距離を散歩するようになった。車で20分以上かかるような所まで行って、戻ってくる。
とても律儀な性格なので、毎日かかさずに朝夕と散歩にでかける。夕方になると、車に轢かれないようにと母から渡された、光るタスキをつけてピカピカ出かける。

夏になり、さすがに暑くて死んでしまうと散歩を諦めた父は、とても寂しそうに見えた。
小さい背中で庭いじりをしている父。

「radikoでいろんなラジオが聴けるよ」と教えると、いつも有線のイヤホンをつけるようになった。
どうやらradikoの「放送大学」を片っ端から聴いているらしい。

しばらくして「放送大学がそろそろ配信終了になっちゃうんだよね」と父が言った。
それは困った、と思い「Podcastはどう?あとこのイヤホン余ってるからあげるよ」とワイヤレスイヤホンを渡した。
すると、すぐにワイヤレスイヤホンの接続方法を調べて、うれしそうにつけ始めた。

あれから半年、最近は何を聴いているのか尋ねると、「コテンラジオ」と「超リアルな行動心理学」は全部聴いたらしい。後者はかなり意外だ。

武田砂鉄も好きらしく、私と好みが似ている。さすが親子だ。「あの人は話し方が穏やかなんだけど、ハードロックが好きで、音楽が流れるたびにビックリするんだよね」と言うから笑った。

日々の楽しみができて良かったけれど、若者みたいにいつもイヤホンを付けていて、母が話しかけても上の空なのはやめた方がいいよ。
とアドバイスしている。

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