騎手の騎乗スタイルについての疑問

数年前から最後の直線で、馬上で暴れるような騎乗スタイルを見るようになった。
現在は一時期よりも少なくなったように見えるが、それでもまだ多く見られる。

どうやら「追えている」ということらしいが、本当にそうなのだろうか。

そもそも、人間が激しく追ったところでどれだけの効果があるのだろうか。馬が本気を出せば人間の力などは微々たるものであることは、ゲート入りを嫌う馬とそれに対応しようとしているスタッフを見れば一目瞭然である。

例えば、人間がリュックを背負い、その中に5㎏の砲丸を入れて全力で走ったとしよう(砲丸で想像するのが難しければ、荷物をたくさん入れたリュックでも構わない)。そうすると、リュックの中の砲丸はおそらく暴れる状態となると思うが、背中は痛いし、走りにくいしで、どう考えてもプラスになるようには思えない。

騎乗で暴れるということは馬もこれと同じような状態になっているのではないだろうか。

次に馬上での運動量(エネルギー収支?)について考えてみる。
騎手は馬上で鐙のみで馬とつながった状態で、地面と直接の力の交換はないと考えることができる。そうすると、手を伸ばして手綱を前に出したときは、バランスをとるために足で鐙を通して後ろ向きに力を働かせるので、前向きの力と後ろ向きの力で、馬上での運動量の総和はゼロになるのではないだろうか。そう考えると、アクションが激しかろうが小さかろうが、馬に対しての効果に違いはなく、リュックの例を考えると、ただ馬の背中を痛めるだけということになる。

もちろん、自分は物理学について詳しくない(書いている内容は高校レベルのはず)ので、そもそも物理学の考え方が間違っているかもしれないし、あくまで、こうではないかという予想にすぎない。

しかし、この予想が正しいとしたとき、ひとつ納得できることがある。
それは、女性騎手の活躍である。

基本的に男女で身体的な差が出るスポーツにおいて、女性が男性を上回ることは非常に難しく、トップレベルでは100%無理と言ってもいいだろう。
そのようなプロの世界で、同じ土俵で性別に関係なく活躍できるということは、騎乗においては男女間の筋力の差が問題にならないレベルだということが言えるのではないだろうか。これは力任せに激しく追う必要がないことを意味している。
そして、他のスポーツと比べ、40歳以上はおろか50歳以上でも十分に一線級の活躍をしている騎手がいることもそれを裏付けるものだと考えられる。


競馬素人の意見だと思ってくれて構わないが、いずれにせよ、馬上での激しいアクションは美しいとは思えないというのが個人的な感想である。

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