見出し画像

【3分エッセイ】キャッチコピーと生きる~刺さるキャッチコピーと人生~

筆者:相見美緒

はじめに~刺さるキャッチコピーは人生に影響を与える~

刺さる言葉を探求すると、人生が待ち構えていました。大学のキャッチコピーを分析する授業をきっかけに、私はキャッチコピーから人生を見出すようになったのです。刺さるキャッチコピーは宣伝に留まらず、私たちの価値観にまで影響を与えたり勇気づけたりします。
今回はどうして刺さるキャッチコピーが人生に影響を与えるか述べていきます。

刺さる言葉は共感する

まず、前提としてキャッチコピーは人に興味を持って貰うために作られています。当然ですね、宣伝のために作られているのですから目に留まらなければ意味がありません。視界に言葉が入る一瞬に命を懸けてキャッチコピーは作られています。
では、どういった時に興味を持つのでしょう?その理由の一つに共感があります。以下のキャッチコピーをご覧ください。

百貨店が売っていたのは、希望でした。

こちらは西武・そごうが2021年の元旦に発表したキャッチコピーです。キャッチコピーの前には序文のような文章がありました。

レシートは、希望のリストになった。 新型コロナウイルスで行動が制限された2020年。 それでも、自由に旅行できる日のために、 662 人のお客さまが、スーツケースを購入された。 マスクの下でもメイクを楽しみたい 76,175 人のお客さまが、口紅を購入された。 夏祭りは中止だったけれど、浴衣は 475 着。 颯爽と街を歩く日を待ちながら、 お求めになったハイヒールは 1,001 足。 生まれてくる命を、566 セットの ベビーギフトが全力で祝福した。 足踏みばかりの日々であっても、 一人ひとりの「私」は、今日を楽しむ工夫を続けた。 お買い物の記録に教えられた、大切なこと。 百貨店が売るのも、お客さまが欲しいのも、 ただのモノではないということ。

引用:Press Release SEIBU SOGO 2021年1月

多くの人々が絶望に呑まれたコロナ時代でも消えない希望があることを西武・そごうは見出し、このキャッチコピーを見出しました。
この広告はコロナ禍で行動制限を受けて失望していた多くの人々が多く共感し、自分たちが物を買うことの意味を気づかせるものでした。
そしてこのキャッチコピーで感銘を受けた方はこんな絶望下でも前に進むために買ってみようと自然に購買意欲が高まってきます。

このように、刺さるキャッチコピーが心に残る理由の一つにお客様の心情に寄り添うというものがあります。

「いいものぞくぞく。西武・そごう」や「新鮮な野菜たくさん。西武・そごう」のように商品を単純に宣伝するようなキャッチコピーではあまり心に刺さりません。なぜならば企業が良いものを提供するのは当たり前だからです。基本的にどの企業もお客様に買っていただけるような良い商品を制作しています。


また、このようなキャッチコピーだと押し売りの印象があり、あまり心が惹かれません。
ではどこで差をつけるか。それがお客様の共感です。お客様がキャッチコピーに共感して商品を見る時、商品と心の距離が近くなります。これによって見逃されるだけの広告が目に留まり記憶に残る広告となるのです。

キャッチコピーから見る人生観

キャッチコピーに人々が心を奪われる時、そこに感情があります。驚き、恐怖、感動、絶望……。こちらの広告にはコロナ禍の絶望とコロナ禍でも消えない希望を感じ取れます。

私はこのキャッチコピーを見た時、感動して涙が零れそうになったのを思い出します。コロナ禍で犠牲になった日々の中でも自分なりの形で私は前に進んできました。
コロナ禍で大学の入学式が無くなり、部活にも入れずいつまで続くかわからないウェブ授業で不安になって日に日に不安になり体調が悪化していきました。それでも対面授業でのキャンパスライフを夢見て口紅を買ったものです。
いつ役に立つかわからないものでした。それでも買わずにはいられませんでした。それが希望だったのです。
それを明確に言葉にされて、曇り続けた日々を鮮明に思い出し、私は涙が零れそうになりました。
そして入学式を経験できなかった私は今就職活動を始めています。今までの大学生活、良いことばかりともいえませんでしたが、それでも私は前に進もうとしています。私はその力をこの西武・そごうのキャッチコピーから得ました。たとえ絶望に呑まれても心のどこかで希望を持ち続けていると私は知ったからです。

まとめ

  • 刺さるキャッチコピーの刺さる理由の一つにお客様に寄り添って共感を引き起こし、興味を持たせるという点が挙げられる。

  • お客様に寄り添った結果、それが人生レベルにまで共感を覚えさせ影響を与えることがある。

おわりに~人生に潜むキャッチコピー~

買うことは生きることです。私たちはジャガイモも服も糸も何もかも買って生きています。そうしなければ生きていけません。
ですから購買は人生に直結しており、購買の広告もまた人生に寄り添ったものがお客様に刺さりやすいです。
そういったキャッチコピーは私たちにも人生を改めて見つめ直す機会を与えてくれます。どうでしょう、この機会に色んな言葉に耳をすませてみませんか。
この広告に溢れる世の中で、あなたの人生のキャッチコピーを見つけてみてください。


※2000字以上かけて書いていますが、相見美緒及び瑠璃雲雀は西武・そごうと一切関係がありません。

この記事が参加している募集

スキしてみて