手紙には　♯シロクマ文芸部

【手紙には】

私の生きごとは他人からみれば
他人なんだから他人ごと
あたりまえのこと
だけど
時々かなしくなってしまうのです

パソコンの隅っこに
この思いを綴るのもいいのですが
もういらなくなったノートに
長々と書き綴ってもいいのですが

今日はなんだかとてつもなく
かなしすぎて
やりきれなくなった
そんな日には
せめてもの
自分への生きているしるしとして
手紙を書いてあげようと思うのです

手紙には宛先もありません
自分から自分への手紙
いらなくなったら捨ててもいい手紙です

そんな手紙ばかり書いていた頃に
偶然に届いた友人からの手紙

無機質なパソコン文字の
お知らせ文書のあとに
添えられた手書きの一行

お元気ですか？

その手紙には
体温なんてないはずなのに
なぜか便箋を熱くするのです
その手紙には
色なんてないはずなのに
なぜか部屋をあかるくするのです

今もずっとかわらずにいる
起きぬけの寝ぐせのような
あなたのまあるい筆圧が
なつかしさが
涙を誘ってくるので困るのです

ここでふるえる私を封印して
元気ですよと
その友人に
新しい手紙を書きたいと思ったのです

はじめまして。お遊び企画初参加。詩の投稿です。
どうぞよろしくお願いいたします。