ただの抗議文である

「もっと肉つけろよ」

今日も身体的な難題を人々は何の悪気もなくぶつける。
細い、ガリガリ、ヒョロヒョロ。そんな言葉を浴びなかった年はない。生まれたときはぽちゃぽちゃの可愛い赤ん坊だったのに、僕はものごころがついた頃にはヒョロヒョロの青年だった。
それでも細いからといって何か困ったことがあったわけではない。小学生の頃はクラスで1番足が速かったし、スポーツだって苦手ではなかった。体重は軽くて、力はない方なのかもしれないが、かといって特別非力なわけではない。サッカーやテニスだって、県大会までは進んでいる。

それでも人はいつだって、僕にガリガリという言葉を浴びせた。僕はこの言葉が大嫌いだ。何故ならその言葉を発するときの人間の顔は、いつも僕を異質なものを見るような目をしているからだ。

何故かこの世界には太っている人にデブと言ったり、ハゲている人にハゲと言ったり、背の低い人にチビと言うのは酷く暴言の対象になるのに、痩せている人にガリガリやヒョロヒョロと言うのは見逃されているふしがある。
僕には同じ身体的特徴に対する暴言にしか聞こえない。

でも僕はもう、全然そんなことを受け流すようにした。

だって、身体的なこと言われたってどうしょうもないから。

そして、そんなことを平気で言ってくるやつより精神的に上回ってるから。

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