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免許証を無くした話 ~再交付編② 決戦

まだ第1回第2回をご覧になっていない方はそちらをご覧いただけますとより楽しめます。

私と証明写真機の歴史


さて、申請ブースに行く前に顔写真を取る必要があります。
いざ証明写真機で写真を、と言いたいところですが、なんとこの関節は証明写真機で顔写真を撮った経験がありません。証明写真機童貞です。こいつとの歴史なんて一個もありません。
じゃあ就活の時はどうしてたのかというと、パレットプラザにてちゃんととってもらいました。おかげで自分で見てもこいつは誰だってくらいかっこよく撮ってもらえたのはまた別の話です。気になる方は実際に会った際にマイナンバーカードでも見せます。

思わぬ敵の出現

では証明写真機童貞の関節は、初めて扱う機械に緊張していたかと思うとそうではなく、むしろ「なんか美顔補正とかあるらしいじゃん!」「気に入らなかったら撮り直しできるんだよな!」などと、むしろ初めての証明写真機にわくわくすらしていました。
テンション高く、意気揚々と証明写真機の中に入ります。どんな出会いが待っているのだろうかという期待の前には600円と無駄に高い出費は痛いですが止む無しです。
中に入ると機械音声が流れてきます。
「緑の枠に顔が収まるよう、顔の高さを調整してください。調整出来たら決定ボタンを押してください。」
ほうほう、この緑の人型の枠の中に顔を収めろというわけだな、今は緑の人型よりもだいぶ高いところに自分の顔があるから椅子を下げればいいわけだ。これで決定ボタンを押せば写真が撮れるだなんだ簡単だなぁ証明写真機なんてのはHAHAHA……あれなんで椅子が下がらない……?

どうして……??

椅子を下げれば撮影終了するのに椅子が下がらない。うんとこしょ、うんとこしょ、椅子を回しても上に思いっきり乗ってもそれでも椅子は下がりません。
恐らく、証明写真機の外で免許の再交付を待っている人々は、証明写真機の中でドタバタしている関節を見て不審に思っていたことでしょう。証明写真機の中で暴れまわるオトナなんて見たことがありません。だが私にはそんなことを気にしている余裕もありません。600円を払って写真撮れませんでしたという無駄な金の使い方はしたくない……!
そこまで思考が巡ったときの関節の脳は、奇跡的な勘の良さを見せてくれました。




「その右ポケットに入っているスマホで調べればいいじゃないですか」





なるほど、時は大スマホ時代。グーグル先生に聞けばなんでも教えてくれる現世。ここでスマホを取り出し「証明写真機 椅子の下げ方」で検索をすれば回答を導き出せるはずだと私の脳が教えてくれました。
そうと決まれば後は簡単、検索すれば勝ちじゃないか。さっさとグーグルの検索エンジンに「証明写真機 椅子の」まで打ち込んだタイミングで





「残り30秒で決定ボタンが押されない場合は自動撮影をします」




証明写真機から突然無慈悲な時間制限を設けられました。
そして残り30秒で入力→検索→アクセス→情報精査→実践を行える自信は私にはありません。そうと決まれば椅子の高さそのままに緑の人型の枠に顔を収める必要があります。

限られたスペースの中での30秒決戦

ここで一旦、私に課せられたタスクを整理しておきましょう。
・30秒以内に
・一人しか入れない空間で
・何とか顔の高さを下げて証明写真を撮影する
という3条件を唐突に課されました。モンハンもびっくりの緊急クエストです。
差し迫る時間、下がらない椅子、狭い空間という超絶縛りプレイの状態の中、導き出された答えは「椅子を枕のようにして撮影する」ことでした。

いや何を言っているかわからないと思うのですけどもはやこれは想像してください。文章力を上げるためにnoteを開設して置きながらここをうまく表現する方法が見つかりません。

では皆さま、壁にぴったりと背中を付けて立ってください。
背中を壁につけたまま足を前に出していって顔の高さを下げていってください。それが私が写真を撮ったときの姿勢です。イメージできましたか?

決戦の顛末とは

それでもなんとか緑の枠内に顔を収めた私は「30秒で成し遂げてやったぜ……」という謎の達成感とともに出来た写真を見に行きました。

おいめっちゃデブやないか

先ほどの姿勢をとってみてもらえれば分かるのですが、顎回りが非常におデブになります。この写真が5年も免許証に残るとなると恥ずかしいったらありゃしません。一方で撮りなおそうかとも思いましたが、
・600円がもったいない
・解決策を見出してないのにもう一回やっても二の轍を踏む
・もうたたかうきりょくがのこっていない!
という3点から再撮影は断念しました。5年間恥ずかしい免許証写真で過ごす恥ずかしさを、証明写真機内の死闘の疲労が上回った瞬間です。

リアルに「ゑ?」が出た瞬間

証明写真機内の戦いに完全敗北した関節は泣く泣くクソデブアゴ写真をもって再交付のブースに行きました。あぁ、5年間恥をさらして生きることになるのはつらいなあ、何なら係員さんにこの写真見られるの恥ずかしいなあ、でも今日を最後に会うことはないからもういいかぁという気持ちで必要書類を窓口に提出しました。
そこでの係員さんから言われたことに、私はリアルに「ゑ?」という反応をすることになります。







「じゃあこちらの写真は本人確認のためだけなのでお返ししますね~」
「免許証の写真はあちらでお撮りしますので少々お待ちください~~」





この写真は免許証の写真にならねえのかよ!!!!!と、件の写真が採用されなくて嬉しいやら、せっかく600円出して死闘を繰り広げたのが水泡に帰して悲しいやら色んな感情が入り混じった間抜けな「ゑ?」という反応を素でしてしまいました。

その後の小話

写真撮影までの待ち時間、係員さんに「紛失ということですがどこらへんで無くされたかわかりますか?」と話しかけられました。
先ほどの死闘+無くしたのは数か月前ということで、全くオブラートに包まずに本音を言えば「んなもん知らねえよ」ということではありますが免許センターって警察施設ということもあり、そんなヤンキームーブをする胆力はありませんでした。
「多分居住区の市内ですね」
「では今から警察署に電話してもらって遺失届を出していただいてもよろしいですか?」
知り合いにかける電話すら憚られるコミュ障に今すぐ警察署に電話しろと申すか。心の準備も全くできていないのに警察署に電話をかけるとか気分は自首でしかないんだが……?
かといってやはりおまわりさんに逆らう胆力も無いので大人しくしたがって遺失届を出しました。
その後は無事に写真撮影をしてもらい、新しい免許証を受け取ることができました。

再交付に必要なものまとめ

免許証を無くす呪いをかけられた皆様は覚えておくといいのですが、
・再交付の手数料+証明写真代(合わせて3000円くらい)
・免許を紛失した大体の時期と場所
・身分証明書
あたりがあればつつがなく免許の再交付ができると思います。勉強になりましたね。

おわりに

全部で原稿用紙15枚分という長尺な話でしたがお付き合いいただきましてありがとうございます。本noteでは関節の身に降りかかった日常のようで日常でない話を上げていこうと思っています。
感想とか聞かせてもらえると筆が乗って更新速度が上がりますのでお待ちしております。それではまた。

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