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田舎だと思った故郷は、子育てもキャリアも両立できる理想の場所だった。


高校まで福井県高浜町で暮らし、県外の大学卒業後、17年ドイツで働いていた浅野容子さんは、2017年故郷にUターンしました。
久々に地元で暮らしてみると、予想もしていなかった心地よさを感じたそう。このまちの何が浅野さんを魅了したのか。高浜町での暮らしぶりを伺っていきます。

浅野容子さん
福井県高浜町出身。京都の大学を卒業後、ドイツへのMBA留学をきっかけにPanasonicドイツやSONY、GUCCIなどドイツ国内で17年勤務。2016年にMBAを取得し、2017年11月高浜町にUターン。福井ワーケーション協会を設立し、「高浜まちなか交流館」を拠点に、ICTの普及や多様な働き方を提案する活動を手がけている。

息苦しさを感じていた地元、自分らしくいられるドイツ

――浅野さんは高浜町出身なんですね。

そうです。実家がお寺で、父は住職、母は茶道の先生という、“ザ・和風”な家庭で育ちました。運動が大好きな活発な子どもでしたが、田舎特有の息苦しさを感じている部分もありましたね。

高校を卒業後は県外の大学に進学しましたが、授業よりも茶道部に入ってお茶の稽古ばかりしていました。実家にいた時は茶道をやっていなかったのですが、母の茶道具と着物があるのにもったいないなぁと思って始めたらすっかりハマって。茶道をしている時だけ何も気にせずお茶の世界に没頭できるのが心地よかったんです。家元にも通い、本気で茶道の道に進もうと思っていました。

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――そこからどうしてドイツに?

茶道には定年がないので、突き詰めるのはまだもう少し先でもいいのかなと思って(笑)。大学では経営学部でしたが、教授がドイツのことを研究していたこともあり、MBAを取得するためドイツに留学することにしたんです。まずは3ヶ月ドイツ語を学んで、現地の大学にも入学しました。そこから結局ドイツで17年暮らしましたね。

――ドイツのどんなところが気に入ったんですか?

ドイツではいろんな企業で働きましたが、日本に比べて個人主義で、自由に意見を言える環境がいいなと思っていました。ワークライフバランスが浸透しているし、オンライン中心の働き方もできるので、帰国する必要がなかったんです。でも、ドイツで生まれた一人息子がドイツ語しか話せなかったので、将来のことを考えて日本語習得のために一時帰国することを決めました。当時のボスが「日本に行っても今まで通りリモートで仕事したらいいよ」と背中を押してくれたのも大きかったですね。

地元で子どもの成長を見届けたい

――17年ぶりの高浜暮らしはどうでしたか。

当初は子どもが日本語を習得したらすぐにドイツに戻ろうと思っていましたが、高浜町の教育が素晴らしくて、この場所で子どもの成長を見届けたいと思うようになったのが一番大きな心境の変化でした。


――高浜町の教育とは?

私が子どもの頃は正直、「日本の教育って軍隊みたいだな」と思っていたんです(笑)。でも、今は全然違いましたね。高浜町の小学校では、子どもたち同士で意見を尊重しながらディスカッションして問題を解決していくんです。例えば運動会などの行事でも、高学年が低学年を教えてサポートするような関係性が学校全体でつくられているのも素晴らしいなと思いました。

学力面でも、都会では塾に行く子どもが多いけど、こっちでは先生の目が行き届いているので、学校に通うだけで高い学力と体力を維持できる。福井は全国的に学力・体力ともにトップレベルの県ですが、この環境はほんとすごいと思っています。息子も今ではすっかり日本語が話せるようになりました。

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▲毎週、小学校で英語の絵本の読み聞かせをしている浅野さん

日本人はもっと自由に働けるはず

――高浜町とドイツ、リモートでの働き方に不便はなかったですか。

それが意外と高浜町でも心地よい働き方ができたんです。リモートで仕事をして、気分転換したくなったら歩いてすぐの海に行く。季節や時間によって景色が変わり、海がすぐ近くにあることで、こんなにもストレスフリーになるのかと、あらためてこの場所の良さを感じました。泳いだあとにリモート会議なんてこともしょっちゅうです(笑)。

日本はまだまだ長時間労働が良しとされているところがあったり、ストレスフルな人も多いと聞いたり……。もっと自由で心地よい働き方をここで体感してほしいと思うようになりました。ちょうど、縁があって「高浜まちなか交流館」を運営を委託されたこともあり、この場所を拠点にしたワーケーションを推進しようと、2020年8月に「福井ワーケーション協会」を立ち上げたんです。

――「福井ワーケーション協会」ではどんな活動をしているんですか。

ワーケーションといっても、人によって目的はさまざま。仕事の合間に現地でしかできないアクティビティを楽しみたい方もいれば、自分だけの世界にこもって仕事に集中したい方もいます。自分自身がリモートワーカーだからこそ、ニーズを細やかに汲み取り、一人ひとりに合った最適な過ごし方を提案しています。

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――ここ1年ほどで「ワーケーション」はかなり浸透しましたよね。

そうですね。県外からの問い合わせも増えています。高浜町には2つのコワーキングスペースがあるんですが、海が近いロケーションに加え、徒歩圏内にスーパーや病院、薬局が揃っているので、中長期滞在にも適した環境だと感じています。

最近では、高浜町だけでなく、市町を超えていろんな地域のコワーキングスペースを運営している人たちと連携する機会が増えてきました。福井ってすごく魅力的な人や場所が多いので、私自身も刺激を受けているんです。自分一人で動いてもできることは限られているので、横のつながりも積極的につくっています。

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▲県内でコワーキングスペースを運営するメンバーたちと

多様性を生み出せるまちへ

――「高浜まちなか交流館」は地元の方も利用していると聞きました。

ワーケーションに来た方だけではなく、地元の方を対象にしたヨガ教室や年配の方のiPad教室、放課後の小学生に向けた英会話教室なども行っています。以前は静かな通りでしたが、最近では地元の子どもたちとおじいちゃんおばあちゃんが集い、世代を超えて交流する姿も見られるようになりました。

「高浜まちなか交流館」を拠点に、最近では地元で採れたワカメの商品化や自治体や企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する取り組みも始まっています。気づけばワーケーション以外にもいろんなプロジェクトを抱えていますね(笑)。

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――そんなにエネルギッシュに活動できる浅野さんの原動力は何なのでしょう?

それは、地元に帰ってきて、自分の子どもやこれからの世代のためにも「もっと地元を盛り上げたい」という思いが強くなったからだと思います。

「田舎だからできない・無理」ではなく、動くことで世界は変わると思っています。どこにいても刺激的な出会いはあるし、多様性を学ぶことだってできる。まだまだこのまちの可能性を引き出していきたいですね。


福井ワーケーション協会
https://www.cowork-edu.com/

【福井県のワーケーション情報はこちらからもご覧いただけます】
福井県定住交流課
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/wakatei/workation.html


【移住のご相談はこちらから】
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福井の各市町について
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福井県公式就職情報サイト「291JOBS」
https://291jobs.pref.fukui.lg.jp/


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