NHK Eテレ「NHK 沼にハマってきいてみた」YouTuber沼回を見て抱いた違和感について

10/15(月)放送のNHK Eテレ「NHK 沼にハマってきいてみた」に、YouTuberのワタナベマホトさん、東海オンエアさん(てつやさん、しばゆーさん、としみつさん)が出演しました。

いずれもYouTubeでよく動画を見ていたし、歌い手好きとしては番組欄の「あの歌い手も…!?」みたいな文言が気になったので録画していました(まんまと釣られる)。

で、ついさっき番組を視聴したんですが、どうも気持ちがモヤモヤしておさまらない。ネガティブな感情を発信するのはよくないと思いつつ、ここで抱いた違和感を言語化し整理することは、何か新しい発見にも繋がる気がしたので書いていきます。

まず、時間帯的に見ていなかった人も多いと思うので放送内容をざっくり説明します。出演者はMCがサバンナ高橋さん、桜井日奈子さん、ゲストがワタナベマホトさん、東海オンエアさん。最初にYouTuber2組の概要紹介があり、その後東海オンエアさんがワタナベさんのすごい所を、ワタナベさんが東海オンエアさんのすごい所を紹介していくという流れでした。

私がモヤついたのは、ワタナベさんが東海オンエアさんを紹介する過程にあった「東海オンエアが即興で動画づくりに挑戦する」というパート。これはワタナベさんが振ったのではなく、最初から番組の内容として組み込まれていたようでした。

その内容が下記になります。

▼東海オンエアのメンバー3人にランダムで「企画」or「ロケ(カメラ撮影)」or「出演」のポジションが割り当てられる

▼その後、3つのスポーツ「卓球」「バドミントン」「新体操」(いずれもラケットなど道具あり)の中から視聴者投票で種目を決める

▼選ばれた種目を題材に、即興で企画を練り、その場で動画を撮影する

私は、この「即興で動画づくり」という企画に違和感を覚えたんです。生放送、しかも即興、それでいて笑いをとるとなると、もはやそういうパフォーマンスの領域です。そしてそれはYouTuberの専門とは違います。本来であれば時間をかけて企画を考え(テーマだけでなく笑いどころ、動画構成、オチまで考える)、ときには撮り直しを挟みながら撮影を行い、もっと面白く見やすくなるよう編集をした上で動画というコンテンツにアウトプットする。どちらかというと漫画家やライターのような、クリエイティブな職種です。ただ、そこに本人たちが出演するという部分で、タレント的なイメージを持たれることが多いんですよね。

漫画家は、しっかり作り込んだ漫画を描いてこそ面白い。Youtuberは、しっかり作り込んだ動画を投稿してこそ面白い。もちろん専門外の領域にチャレンジすることで、新しい面白さが生まれることはあります。たくさんあります。でもそれは本人の意思で、本人のペースでやれば良いこと。今回はあくまで動画の世界で活躍しているYouTuberを、無理やりテレビ側の土俵(特に、生放送の土俵)に立たせた感じがしてしまったんです。

番組放送後にワタナベさんのチャンネルにアップされた動画でも、ご本人が「スベらされました」と仰っているように、決して即興動画作りは「成功した」とは言えないでしょう。でも、それならあの企画設定からどうなっていたら「成功」だったのかが、考えても考えても私にはわからないのです。そもそも動画はあんな短時間で、アドリブで作るものではありません。それでもやらせるなら、動画の内容(今回は3種目だったので3パターン)やその後のトークまで、番組制作側と出演者がすり合わせておくべきだったと思うのです(同動画によるとリハーサルはバドミントンの設定で行っていたため、本番の新体操は本当に即興だったそう)。

※番組内で東海オンエアさんがワタナベさんを「ネガティブをポジティブに変える天才」と紹介してましたが、今回の件、早速動画にしていてさすがやな…と思いました

動画サイトの世界とテレビの世界は、今急速にコラボが増えています。テレビで人気のお笑い芸人やアーティスト、アスリートによるYouTubeチャンネル開設も毎日のように話題になります。一方で、今回のようにYouTuberや歌い手など動画投稿をメインとする活動者のテレビ出演も少しずつ増えてきました。

今思い出したんですが以前、同じくNHK Eテレの「Rの法則」で歌い手特集が組まれたことがありました。あれはあんまり違和感を抱かなくて、安心して見られたんですよね(歌い手ランキングを実施したのは賛否両論あったようですが)。

YouTuberによる動画とテレビの番組は、似ているようで全然違います。視聴者が求めていることも違います。ただ、どちらが優れているというものではありません。双方のコラボには大賛成ですしこの先もっと融和が進んでいくとは思いますが、互いの土俵の特性や文化を理解しながら慎重に歩み寄らないと、誤解やリスクが発生します。

Eテレ、攻めた番組が多くてほんと大好きなんです(ねほりんぱほりんとか)。「YouTuberがテレビに出るから面白い」ではなく「YouTuberがテレビに出たらこんな面白さが生まれた」ということがきっと実現できるはず。これからも応援しています。

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