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『海が走るエンドロール』を読みました。

 どうも皆さん、未完(みかん)です。

『海が走るエンドロール』を読みました。

感想を書いていきます。

よろしくお願いします。



著者:たらちねジョン 出典:秋田書店公式サイトより

 『海が走るエンドロール』は、「このマンガがすごい! 2022」オンナ編にて第1位を獲得した人気作です。

 多くの人が、すでに手にとって読んでいると思います。読む機会がなかなかとれず、ようやく最近読みました。お恥ずかしいーー。

 あらすじは、以下の内容です。

主人公・茅野うみ子は夫と死別したばかりであった。夫との映画鑑賞が好きだったうみ子は、数十年ぶりに映画館に足を運んだが、映画の上映中に、夫との初デートで映画ではなく「映画を観てる人が好き」だと指摘されたことを思い出し、劇場内で客席を見ていた。上映後にそのことを映像専攻の美大生・海に指摘され、会話をきっかけに家に招く。2人で『老人と海』を鑑賞した後、海に「映画作りたい側」ではないのか、「今からだって死ぬ気で映画作ったほうがいい」と言われたうみ子は、自分は「映画を撮りたい側」であると自覚し「映画づくりを学ぶ」ために美術大学の映像科に入学する。同級生との映画製作や海が映画監督のもとで修業することを意識したことにより感情が揺さぶられたうみ子であったが、自身について再認識し、海を撮ることを決意したのであった。                   

Wikipedia

「ヒロインのうみ子さんが、映像専攻の美大生・海(カイ)と出会うことで自分のやりたいことに気づき映画を作るために美術大学の映像科に入学する」といった内容です。

「このマンガがすごい!」第1位を獲得した作品なので、当然面白いのです。今回は、個人的にささったおすすめポイントをまとめていきます。


《おすすめポイント》


―――――【65歳のヒロイン】―――――

 65歳のヒロインに、スポットライトを当てて主人公にすえる。間違いなく、この作品の一番特徴です。

 ただの設定としてではなく、作品の中でしっかりと65歳女性の特徴や思考をとらえています。

 例えば、『老後の趣味』という言葉を投げかけられた時に、65年の人生経験を生かし、冷静に自分を落ち着かせる。自分の扱いを熟知しているシーンなどが出てきます。

 しかし、上手くいくことばかりではありません。65歳にして、新しい挑戦『映画づくり(創作)』に悩みはたえません。創作の苦悩に悩まされる上に、年齢や体力のギャップが追い討ちをかけてきます。

 65歳女性の特徴や思考、そして創作者としての苦悩が丁寧に描かれています。


――――――【心理描写】――――――

 『海が走るエンドロール』では、2人の主人公のうみ子と海(カイ)にかけて海を使った心理描写が描かれます。

 例えば、創作というゴールが不確かな活動を『大海を進む小船』で表現されるなど。この描写がとても素敵で心に残りました。

 心理描写を絵で視覚的に描けるのは、漫画の大きな特徴ですね。そして面白い漫画は、心理描写の視覚化がすぐれている。

 作者のたらちねジョン先生の才能が輝くシーンだと思います。

 心理描写で言えば、羽海野チカの『三月のライオン』に似ているものを感じました。読み比べてみてください、どちらも最高です。


――【何かを始めるのに年齢は関係ない】――

 『海が走るエンドロール』では、主人公のうみ子さん(65歳)の年齢が、ひとつの壁として描かれています。

【もう歳だからできるわけない】と――。

 人は、何かを始めるのにたくさんの言い訳をします。

  • お金がない

  • 時間がない

  • 運がない

  • 若くない

 言い訳ばかりの僕達に『海が走るエンドロール』が、うみ子さんが思い出させてくれます。

【何かを始めるのに年齢は関係ない】

 はじめられない理由など、どこにもないと気づかせてくれます。

 何かをはじめようと考えている人――

 新しいことに挑戦しようとする人――

 新たに船出をする人たちに、優しい追い風をくれる作品です。

『海が走るエンドロール』 ご一読ください。

未完(みかん)。

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