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Good night ~明けない夜の始まり~

「Good night?」

 それは、いつもと変わらない噂話から始まった。勉強中に聴くいい曲はないか? という話題。

「それを聴くと眠気が無くなる」と友達は言った。半信半疑で聴いたその曲はどれだけ聴いても飽きなかった。3日間のテスト期間中僕はそれを聴き続けた。

 その間、一睡もしなかった。

 異変が起きたのは4日目の夜。曲を聴いていないのに寝れないのだ。5日目も……。6日目、親に頼み病院へ。睡眠薬を貰うが寝れない。

「寝れない……寝れない……寝れない……」

 7日目の夜、僕は布団の中で同じ言葉を繰り返た。ついに、限界が訪れた。

 僕は布団から飛出し、机に置いてある睡眠薬を掌いっぱいに持ち、勢いそのまま口へと運んだ!

「これで死(ねむ)れる」

 一瞬目の前が暗闇に覆われた気がした……。

 気が付くと僕の手は止まっていた。いや、止められた。自分の影から伸びる手によって! そして、影が僕に話しかけた。

「おはよう、主様」

こうして……『明けない夜が始まった』。


【続く】

読んでいただいてありがとうございます。面白い作品を作ってお返ししていきたいと考えています。それまで応援していただけると嬉しいです。