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創業からつづく日報の所感。その3つの意義とは

こんにちは。RELATIONS代表の長谷川です。

RELATIONS(以下、RE)では創業初期から、日報で日々の業務を報告する取り組みを継続しています。REの日報の特徴は、所感という欄があることです。

所感とは、辞書で調べると「事に触れて心に感じた事柄。感想。」という意味。その意味の通り、REでは一日一日の業務において、何かしら心に感じたことや自分の中で起こっていることに目を向け、それらを組織全体で共有しています。

<昨日の私の日報の所感>
自然探求部で釣りへ。鯛も釣れて子どもたちにとってもめちゃ良い体験だった。とれたての鯛の刺身も絶品でした。
奥さんには、ゆっくり休みをとってほしいということで、子供3人を自分で見るような感じで参加。一番下の子が、車の移動中に嘔吐をし、その処理だけでも色々とペースが乱れ、上の子にも怒る始末。3人の子育てを任せることが多く、日々格闘している奥さんの大変さを改めて理解することができた。感謝。

こんな感じで各メンバーがその日に感じたことを思うままに発信します。意外とこういった文章から人柄が滲み出てきますよね。

さて、この取り組みがなぜここまで根付いているのでしょうか?

実は過去何度か、疑義を抱いたメンバーから「日報を辞めよう」という意見が出てきたこともあります。その代替案として、「週報に変えていくのはどうか?」「業務の報告だけを日報に残し、所感部分を省いてはどうか?」「所感って何を書いて良いかわからないし、浮かばない日もある」など、いろんなアイディアや意見が出されてきましたが、結果として継続され、今に至ります。

自分なりの考察ですが、所感を書くことには以下のような意義が込められていると思っています。

【所感を書く3つの意義】
① 心の微細な変化を感じ取ること
② ”いまここ”へ意識を向けること
③ 自分、メンバー、組織全体の感情・価値観へ日々触れること

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まず、①心の微細な変化を感じ取ること、から深堀りたいと思います。
例えば、なんとなく今日は気分が乗らないなと思ったり、なんだか頭が重たいなと感じたり。そのようなちょっとした身体的変化は起床時に気がついたり、感じたりすると思います。通常はここで止まってしまいますが、もう一歩深ぼって、なぜそうなったのか?”を感じ取ることが重要だと私は思います。
過去の出来事に影響を受けていたり、未来に対して抱えている不安などが無意識的に影響を及ぼしていたり、その他様々な心理的要因が関係していることが考えられます。
身体感覚と心はつながっていることは各領域で研究されている分野です。身体の感覚をトリガーにして、心に意識を向けることは、自分を理解する上でも非常に有効です。
自分の身体・心の状態を日々確認することは、自己認識を高めていく上ですごく大事なトレーニングになると思います。

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つぎは② ”いまここ”へ意識を向けること、について。
所感を書く作業は、”いま”の自分の状態へ意識を集中させることにつながっています。いまここを意識することは、自分が存在していること、それを生み出してくれている環境に対して純粋な感謝をする機会になります。
例えば、今に意識を向けると、家族との朝食の時間、娘を幼稚園に送っていく時間、一緒に仕事するメンバーとの時間、クライアント企業との時間など。こういった時間が実は当たり前ではないことに気がつくことができます。そうなると普段の状態においても感謝の気持ちが芽生えます。そういった方々と今日は何が生み出せるだろうか、と前向きな感情が芽生え、ワクワクしてきます。
日々ものすごい速度で社会は動いていますので、未来に対して焦りを感じることも多いと思います。”いまここ”に意識を向けることは、日々に流されず大事なことへ目を向けるという大切な意義があるのだと思います。

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最後に③自分、メンバー、組織全体の感情・価値観へ日々触れること、について。
システムコーチングという概念で、その中でEQ(感情的知性)、SI(社会的知性)、RSI(関係性システムの知性)というものがあります。CRRの定義を借りて、それぞれを説明したいと思います。


感情的知性(EQ)とは、個人の感情を経験する力、特定する力、そして上手に表現する力と定義されています。まさに自分の感情・価値観を知ることです。
社会的知性(SI)とは、他者の感情を正確に読み、共感する力と定義されています。SIの能力は、メンバーの今の状態を知る力のことです。
EQ(感情的知性)やSI(社会的知性)を超えるところに、関係性システムの知性(以下、RSI)の領域があります。
RSIとは、目には見えないシステム(=関係性)に何が起きているのかを把握し、”いまここ”にある場・空気感・雰囲気を感じ取って言葉にできる力。さらに、そのシステム(=関係性)に対し、効果的に働きかけることができる力を意味します。RSIにおいては、自分やメンバー、さらにはパートナーシップやチームといった、有機体としてのシステム(=人と人の関係性)へと意識の焦点が移ります。
自分を知り、メンバーを知り、その集合体としての組織の現在の感情や価値観を知ることは、様々な判断に非常に役立ちますし、日報を通じて日々やりとりしている情報へ目を向けることは大きな価値があります。所感という枠組みがなければ、リモート時代になるとより触れづらくなるものになると感じています。

まとめてみると、日報では、まず自分に意識(EQ:感情的知性)を向け、自分の心の状態を明らかにして発信します。つぎにメンバー全員の所感へ共感する視点(SI:社会的知性)から受け取ります。最後にそれら全ての所感を受けて、組織全体(RSI:関係性システムの知性)の視点に立ち、その状態に意識を向けていきます。
そうすることで、組織の雰囲気や空気感を少しでも感じ取れるのだと思います。

”日報の所感を共有する文化がなぜ継続されているのか?”というところに視点を向けてみると、意外と様々な要素が絡んでいることが再発見できます。

では、こんなところで。今日もええ一日にしていきましょう。

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