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「日本における新しい組織」の理想のあり方とは。【対談】令三社 山田裕嗣さん

こんにちは。RELATIONS代表の長谷川です。

今回は令三社の代表である山田 裕嗣さんとの対談記事です。それぞれが考える日本組織への願いや、今後目指していきたい組織のあり方について語りました。

最新の組織開発に興味がある経営層の方のヒントになれば幸いです。

1. まずは、令三社さんについて

zoom対談の様子

長谷川: 山田さんとは約5年前に自然経営研究会のセミナーで出会いました。そこからご一緒させていただく機会が多く、ご縁を感じています。

昨年の令三社さん立ち上げも素敵だなと思って見ていたのですが、どのような背景で起業されたのでしょうか。

山田さん: 令三社は令和3年に3人で立ち上げた会社で、「知識を組織に。思想を実践に」というビジョンを掲げています。日本や世界に散らばっている、組織に関する思想や知見を集め、実際の組織へ実践可能な形に変換し、日本の環境に適した組織運営の技術を生み出すことが役割だと考えています。

令三社の皆さん

そこに至った背景には2つ理由があります。

僕自身の経歴が関わることなので、簡単に説明させていただきます。
社会人のスタートでは、企業の組織開発や人材育成のコンサルティングを経験し、その後I Tベンチャーの創業に携わり役員をしていました。その後は自然経営研究会という社団法人を5年ほど。組織文脈に寄り添いながら、「新しい組織って何だろう?」というテーマを探求してきたように思います。

たまたま僕は英語が出来たこともあり、ティール組織の海外カンファレンスに参加したり、ティール組織の取り組みをインタビューしたりする営みを2017~2019年くらいに行っていました。その時に感じたんです。

日本での組織開発の取り組みが、いかに海外に知られていないか。
いかに届いていないのか。

ということを。

そこでハッと目が覚めた感覚がありました。
英語で伝えようとしないと、海外に届くわけがないと。そういうことに問題意識を持ってトライしようとしている方も他にいなく、自分でやっていこうと思ったんです。

もう一つの理由は、「日本で」良い組織をつくりたかったからです。
海外の事例を日本に持ってきても、そのままそっくりフィットさせるのは難しいこともありますよね。だから、日本で良い組織の事例を増やしていくために、必要なものは世界から事例を取っていきたい。逆に、日本らしい事例が出来たら、それを海外に持ち出したい。

そういった双方向の活動を行っていきたいと考えています。

2. 令三社さんの衝動。山田さん自身の衝動

長谷川: 令三社さんでは、組織づくりの最新事例をレポートにしたり、ソース原理に関する翻訳本の出版やセミナー開催などを行なっていますが、どのような世界観を目指していらっしゃるのでしょうか?

▽令三社さんに取り上げていただいた、RELATIONSの事例レポート

山田さん: 会社として思い描いているビジョンと、個人のビジョンとを別でお話させていただきますね。

まずは会社として。先ほどの話にもつながりますが、日本と他の言語圏でインタラクションが起こることです。そのためには、まず日本で良いものを作ることが必須だと思っています。

一方、僕個人の話でいうと、「組織のことについて目の前で困っている人が、ステークホルダーの方たちと良い状態になる」その一歩前進するところをサポートすることが好きですし、衝動なんです。

組織の現実って非常にカオスですよね。数多のステークホルダーとの関係が絡み合って、利害関係があって。
その中で「どうにかしたい」と踏ん張っている人を、何とか前進できるように支援したいんです。

長谷川: なるほど。良い組織をつくることをサポートするために新たな知恵を取り入れ、それを実践レベルに落とし込んで、また現場で得たものを外へ共有していく、という循環なんですね。

山田さん: 長谷川さんも同じタイプだなと思っているのですが。(笑) 知ること・学ぶことは非常に大事ですし、絶対にやったほうが良いのですが、とはいえ、目の前の自分たちのチームや、支援している顧客がどうなのか?というところに一番こだわりを持っている。という部分は共通のものがある気がします。

長谷川: たしかに。共感する部分は多いなと感じます。(笑) 私自身、当事者として動く、というアイデンティティは大切にしていますね。

3. 新しい組織をつくる上で、大切にしたいこと

長谷川: 新しい理想の組織を作っていく上で、私たちはどんなことを大切にしていくと良いでしょう?

山田さん: 正直、良い組織をつくる上で、仕組みは何でも良いと思っています。

例えば、組織を良くしようと考えたときに、その組織がティール組織かどうかはどっちでも良いんです。「ティール組織というレンズもパワフルだよね。でも、他にも良いレンズはあるよね。」というスタンスです。

令三社が外部と協働している組織の一つに、Corporate Rebelsという30代のオランダ人ふたりが創業した会社があります。彼らは世界の先進的な組織を訪ね歩き、実例マガジンとしてリリースしています。

「make work more fun」というキャッチフレーズを彼らは掲げているのですが、私もそれに通ずる思いがあるんです。「どの組織形態がベストなのか?」と答えを1つに絞らず、まだ知らない楽しい働き方は他にもたくさんあるはず!という幅広いスコープで探求しています。

常に本質として大切にしたいのは、「“このチーム”をよくするためには?」という目の前の課題に応えることなんですよね。

長谷川: たしかに。ティールなどの枠組みも、手段に過ぎないですからね。「自分たちにとって良い組織とは?」という本質を常に問うていきたいですね。

山田さん: ティール組織、ソース原理など、そのレンズが豊富にあることが大切だと思います。他のレンズで見ることで、得られる気づきも多いですからね。

RELATIONSという組織を見るとしても、ソース原理のレンズから見た場合と、ティール組織のレンズから見た場合では、だいぶ異なる認知になると思います。その種類の分だけ、学びは深まっていきます。

4. 今後の展望

長谷川: 2023年以降、行っていきたい取り組みは具体的にありますか?

山田さん: 大きく2つあります。ソース原理に付随するマネーワークを主催したり、別のソース原理の本を翻訳したりすることはしたいですね。ソース原理の文脈の叡智を、どうやって日本に届けるのか?というイニシアチブが大きく1個あるので。

あとは、日本の進化型組織を訪問し、まずは100個のレポートを制作することです。Corporate Rebelsの実践事例データベースの日本版を作りたいですね。

日本版のレポートを英訳して、彼らのメディアに掲載することも検討しています。日本の実践知を海外にも届ける、という活動ですね。

長谷川: それはすごいですね。日本と海外をつないでいく。まさに令三社さんの目的とつながりますね。

100社の事例作成は、ぜひRELATIONSも一緒に動くことが出来ればと思いました。

RELATIONSの強みは、地方の企業とつながりが深いところです。いまはまさに、社会の変化とともに組織のあり方も過渡期を迎えている気がします。そんな状況の中、地方の成熟した市場で、今後どういう組織経営をしていくべきなのか、迷っていらっしゃる経営者の方は多いはずです。

山田さん: まさにそうなんです。進化型組織の事例を集めると、どうしても東京の企業や、ITなどの新しい業種が大半になってしまいがち。しかし、地方にも独自の展開をされている素晴らしい組織はきっとあるはずなんです。

RELATIONSさんの顧客先に足を運び、地方では何に困っているのかを知りたいですし、それらの企業の中で良い事例があれば、ぜひインタビューさせていただきたいです。
僕たち令三社からその組織を見ることで、新しいレンズの提供もできます。

長谷川: 一緒に全国を訪ね歩くのは良いですね。事例の数とレンズの種類が豊かになっていくと、日本社会全体でも新しい組織への挑戦がしやすくなりそうですね。

5. 最後に

山田さん: 「良い組織が増えてほしいと本気で願っている」という思いは、RELATIONSさんと共鳴している部分です。そのためには、「自社だけで取り組もう」という境界線の引き方には何の意味もないな、と思っているんです。

組織間の境界が解けた上で、RELATIONSさんはRELATIONSさんのパーパスがあるし、令三社には令三社のパーパスがあるけれども、願いを実現するために、お互いが溶け合って共同体的にいられる状態が良いと思っています。そういう緩やかさのある交わり方ができれば嬉しいですね。
 
長谷川: こちらこそ。双方のリソースをうまく融合させながら形づくっていけるといいなと思います。令三社の方々がお持ちのイニシアチブをRELATIONSとしても学んでいきたいです。学んだことを事業での実践に生かし、ぜひ連携できる箇所は一緒に進めていきましょう。

どうもありがとうございました! 


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