ブランディングに注力して見えた、組織の「内面と外面の一致性」を高めることの大切さ
こんにちは。RELATIONS代表の長谷川です。
あっという間に年末ですね。
2022年を思い返してみると、色々な新しい取り組みをしてきたな、と感じるのですが、「特に注力してきたものは?」と問われるとブランディング活動がその代表例として思い浮かびます。
パートナーを含めたブランディングチームを立ち上げ、社内で数々の対話を重ね、会社のロゴやパーパスの刷新を行ってきました。そんな1年間の流れを振り返りながら綴っていきたいと思います。
ブランディングの進め方で迷っている企業担当者の方、企業理念を体現する方法を模索されている経営者の方のヒントになれば幸いです。
1. なぜ、いま「ブランディング」なのか?
RELATIONSは2009年に創業して、今年で14期目。なぜこのタイミングでブランディング活動?と思われるかもしれません。
理由としては、
という想いがあったためです。
RELATIONSが内側で持っている想いや衝動と、”外側から見えるRELATIONS”という外見的な見え方が、嘘偽りなく「イコール」になっている状態をつくりたいという願いです。
ブランディングとは何か?という答えは様々かと思いますが、私にとっては
に意味合いとしては集約されます。内面の整理をしながら、「外に対してどうやって見えるか?」という外見もちゃんと整えるということ。
人に例えると、その人がどう見られたいのか?その人の内側で何が起こっているのか?という部分を聞くことで初めて、ふさわしい服装や髪型がピタッと決まる。そんな感覚と同じです。
一般的にブランディングには、他社との差別化や、顧客との信頼関係も含まれます。しかし内面がしっかりと深掘られていて軸があり、そして、外面が内面と一致していれば、顧客の期待値とも合致するはずです。そうすると、自ずとブランディングで実現したいことが満たされる、という理解を私はしています。
2. 当時、感じていた課題
経営者である私からは2つの課題が見えていました。
まず1つは、
ちゃんと文脈理解が統一されていない感覚です。
2つめは、そこの認知がみんな違うが故に、
RELATIONSが歩んでいきたい世界観と、個人のものとが、お互い認知できておらず、それによって各自の行動がズレていき、組織全体が乱雑になっていく感じがしていました。
それらの課題感がある中で、
と考えました。
接点を持ったクライアントが感じてくださる「RELATIONSってこういう会社だよね!」という印象と、自社の内面が、極力一致している。
そんな状態を”理想”に置きました。
3. ブランディング活動の体制と進め方
まずは、公募で集まった社内メンバー4名とパートナーで、”ブランディングチーム”を立ち上げるところから始めました。
パートナーとしては、『進化思考』の著者 太刀川さんが代表を務めるNOSIGNER(ノザイナー)さんとご一緒させていただきました。RELATIONSが描く世界観や、「会社に生命力を」というパーパスへの共感・理解が深く、ともに探求していきましょう!と意気投合してスタートしました。
進め方は、定例でテーマを決めて対話し、そして、形を作ってみる。
振り返ってみると、社内メンバー4人がそれぞれ違う領域に詳しいことが功を奏したなと感じます。創業メンバー、コンサルティング領域に強いメンバー、営業に強いメンバーなど。同じ組織の社員でも、全く違う見解が出てきます。
みんなの様々な声を場に反映することで、”RELATIONSさん”として何を感じていて、どんなパーパスに向かっていきたいのかが、徐々にクリアになっていきました。
そしてノザイナーさんがその対話を聴いて、「こういうロゴの感じじゃないですか?」とアウトプットを提案してくださる、という流れです。
でもなかなか一筋縄ではいかなくて。アウトプットを見たときに、「イヤイヤイヤ、ちょっとここはウチっぽくないよね?」「微妙かもしれない」とRELATIONS側からフィードバックすることも。
良い点は、それはそれで認めていく。だけど、「違う」というのもちゃんと本音として反映する。ということを意識していました。
そんなプロセスを回していく中で、「これかも!!」というものに徐々に近づき、洗練されていきました。
(進化思考でいう“変異と適応”というプロセスをそのままこの場でも適応した形です。)
4. ブランディング活動で得た気づき
作っては壊す、ということを何度も繰り返すことは無駄じゃない?非効率だよね?と思われるかもしれません。
しかし、一回ちゃんと答えを出してみて「これは違ったね」という丁寧な確認作業を繰り返したからこそ、
という感覚があったのです。
例えば、「こんなケーキを作ったら美味しそうだな」という想像だけで話していても進展しなくて。
試作で完成した形を見たり、柔らかさを感じたり、匂いを嗅いだり、味見をしてみたり。実物を目の前にしたからこそ得られるフィーリングがあるはずです。
そこで初めて、「もうちょっと砂糖入れたほうが良いんだな」とか、「生地を固くした方が良いんだ」という、理想との具体的な差異が思いつきますよね。
「本音をつなぐ」「素直な関係性」「会社に生命力を」など、ブランディングチームで紡いだワードを、その都度クライアント先で使い、自分の言葉で説明をしてみました。
そうすると、どこかに違和感を感じたり、反対に、しっくりくるものが分かったりするんですよね。そうやってチームメンバーそれぞれの中でアップデートしていきました。
さらにそこへ、太刀川さんの外部的な目線があったのも良かったです。RELATIONS社内の目線だけだと、自分たちの外見が見えないので。ノザイナーさんが姿見になってくださって、「いまはこういう風に見えています」と、RELATIONSの姿を形に表現して、フィードバックしつづけてくれました。
パーパス決定までに半年ほどかかりましたが、
それが私には合っていたように感じます。
5. ブランディングが、事業にもたらす影響
最終的に新しいパーパスは、「会社に生命力を」に決定したのですが、実際、パーパスの刷新をしたことで、コンサルティング事業にも良い影響が出ています。
例えば、コストの最適化プロジェクトをクライアント先で進めている場合。パーパスが無い状態だと、コンサルタントとしては「コストが最適化すればそれでゴール!」「改善額が大きくなることが一番!」と成果主義に偏りがちになります。
しかし「会社に生命力を」というパーパスには、
が込められています。
このパーパスの世界観が社内に浸透して各社員の心に宿っていくと、コストを最適化することの他に、
という新しい視点が働き始めます。
そうすると、コストの成果に至るまでのプロセスがかなり変わってくるんですよね。
クライアント先の経営者、部長、専務、課長、現場責任者、パート・アルバイトの方、クライアントの取引先。
という視点に立つと、アプローチの方法や手順、伝え方までにも、思いやりや工夫が出てきます。
そんな場面も多くみられるようになってきました。
実際、RELATIONSのパーパスに共鳴したからこそサービスの依頼をしたいと言ってくださるクライアントさんも多いです。
今後は、「期待と、実際の支援の質感」の一致性を、スピード感を持ってさらに高めていきたいですね。
6. 経営者がブランディングに注力することの意義
「経営は理念だ」と言われますが、私も全く同感です。しかし、理念やパーパスをただ掲げるだけでは意味がありません。
理念が”形骸化”してしまっているという話はよく耳にします。
なぜ形骸化するのか?
それは、表層でしか理念を捉えておらず、その核となる本質が見えていなかったり、それが体現できていなかったりという状態に、経営陣が陥っているからだと思うのです。
経営にとって理念は大切だよね。という理解で止まっている可能性があります。
そのため、大袈裟に聞こえるかもしれませんが、経営陣のエネルギーは100%、全身全霊で体現することに投下しておかないといけないのかな、という感覚が生まれています。
ここまでブランディング活動をしてきて、私自身、結構な時間を費やしているのですが、「それくらい深くて、組織に必要なものだよな」と日々感じます。
組織の内面と外側を整えて、そしてそれ表現することは、どの会社にとってもすべての根っこになるはずです。
根っこが見えていなかったり、認知できていないと、組織自体がボヤけてしまいます。本来目指したいものとはズレたものも許容してしまったり、組織にとって悪影響あるものを選択してしまったりするかもしれません。
意思決定をする方々にとって、絶対外してはならないポイントのように感じています。
最後に
RELATIONSのブランディングも、まだまだこれから進化していきます。
来年は、今年整えたものを、コーポレートサイトやメソドロジーなど、色々なものにきちんと表現していきたいと考えています。
特にメソドロジーは”実践の集合知”のようなもので、過去の支援で蓄積したノウハウや、経験の結晶化したものになると思っています。これを世の中に出版し、届けたい。いまはそんな想いがあります。
今後も楽しみながら進んでいきたいと思います。
2022年も大変お世話になりました。
来年もええ一年にしていきましょう。
関連ラジオもぜひご視聴ください。