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今月の1枚 September, 2022〜両親の趣味をたどるの巻〜

父の趣味

昨年の4月、ゴルフを始めた。

社会人になったらゴルフをやってみたいと思っていたことも理由の一つだが、メインは両親の趣味をたどるという文脈の中だった。

私の父はゴルフが好きだ。

まずもって仕事が好きだ。どんなに体調を崩しても、どんなに顔面に傷があっても、仕事に行くと言って聞かない。

そんな父は、休みの日になると、決まってジャケットを羽織り出かけて行く。

ゴルフへと。

毎週のようにゴルフに繰り出す父を見て、私もいつしかやってみたいの気持ちが強くなっていったように思う。

まだまだ未熟だが、ゴルフのレッスンにも通い、ゴルフの楽しさは少しずつ分かるようになってきた。

ゴルフを始めたことを父に伝えると、父は大層喜んでくれた。

初めてラウンドを回ったのも、父とともにだった。
何も分からないままの私に、多くのことを教えてくれた。

母の趣味

父の趣味だけを追いかけると、母が嫉妬してしまうのではないかと気を揉み、母の趣味もたどることにした。

両親が好きなものの世界に、私も触れてみたいと思ったから。

母の趣味はである。

水彩画教室に通う母が描いた絵は、実家の至る所に飾られている。

私は運動神経はいい方なのだが、美術はダメだった。絵を描くのも、工作をするのも、それなりに器用にはできるが、上手!と言われる人たちの作品と比べると、明らかに劣っていた。

実家に帰った時、母にこう伝えてみた。

自分で撮った写真を、絵にしたい。
たとえばこの写真だったら、お母さんはどんな風に絵にする?

母は丁寧に教えてくれた。

下描きは全体のバランスを見て、メインとなるものを丁寧に描くこと。水彩画は薄い色から重ねていくこと。平面に描く絵に立体感を出すには、陰影を意識すること。

世界を見る時に、いつもの何倍も気を遣ってその空間を際立たせること。

難しそうだと思った。

そして。

楽しそうだと思った。

写真を撮る時に似ている。

あ、この景色、留めておきたい。
そう感じた時にシャッターを切る私。

それを絵にする母。


ゴルフほど頻回にではないが、私はそれから絵を描くようになった。

1人で過ごす休日、映画を垂れ流しながら、絵を描く。
見本にするのは、これまでに私が撮った写真。

大学時代のボランティア先

海と山が近いこの地が、私は好きだった。
夕暮れ時の海は圧巻で、この日は特に綺麗な空だったと記憶している。

シルエットに映り込む人たちは、この地で出会った人たち。

それぞれ、海を見に、駆け出して行った。

描き上げた1枚

人々が棒人間になってしまったことには目を瞑るとして。

雲の色、海の色、太陽の色、空の色。
がんばったと思う。

思うような色にならず、何度も色を重ねた空。
近くで見ると納得いかないが、少し離れて眺めると、とても幻想的に仕上がっていると感じる。

実際に空を近くで見ることはないので、これでいいのだろう。

母に見せると「モネの印象 日の出を思い出した」と言ってくれた。褒めすぎである。

まだまだ絵にしたい情景がたくさんある。ゆっくりできる日、Amazonprimeで映画を見ながら、家でゆっくり絵を描こう。

1日家で過ごしても、十分楽しいことに、最近気がついた。

ありがたしありがたし。


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