人生で一番好きになった人は初恋の人でもないし、旦那でもないけど。

いいね、初恋。
青春だね。

初めて人として好きになった経験は、やっぱりどれだけ時間が経っても忘れないものだ。
かっこいいイメージも、どんなに年を重ねて相応に衰えた姿を見ても、変わらないときめきめいたものがある。
しかしやけぼっくいに火はつかない。
この年になるとそう簡単につかないものだ。


加えて大事な恋もある。
私の人生で一番好きになった人は、何年も前に死んでしまった。
またいつか話せるかもしれない、いや話したくもないけど話したいような、変な期待ももやもやしたものもまるごと、すべて持って行かれてしまったような虚無感に襲われた。

私自身を本気で好きにはなってくれなかったあの人はもういない。

好きだと言ってくれていたけど、それは多分、特殊な仕事をしていてひとりでも平気でやりたいことはどんどん取り込むそんな女が「俺の彼女」と言える自分が好きだったんだと思う。
そう言うといつもひどく傷ついた顔をしていたけど。
心を支えて欲しい時にはメールすら返してくれないのに、別れを告げた時には自分の都合だけで遠距離の私のアパートまで押し掛けて来てみたり、帰りの新幹線がないと警察署に泊めてもらったり、そんな自己中心的に400kmの距離を越えてやって来る、そう言うところだぞ。

でも彼なりに私を好きでいてくれたのかな。
そうなのかもしれない。
と思わないとやってられないよ、結婚出産適齢期を4年も共に過ごした人よ。


あれから20年経ち、今の私には人生で一番大切で愛おしい人がいる。
旦那ではない。
いやもちろん、旦那も大切な存在だ。

だけど人生でも世界でも宇宙の中のどんなものより大切で愛おしい娘と息子。

子供たちからの愛こそが無償で、きらきらとまぶしい。
親からの愛なんてそれには比べ物にもならないほどきらきらしている。

今はこの子たちが、どんな友達と何をして過ごし、どんな恋をするのだろうかと楽しみにしているし、その未来は必ず明るくあって欲しいと願ってやまない。

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