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手に職が欲しくて手に入れた職①

焙煎士としてコーヒー豆屋を営む一児の母
おぎのあおいです。
こんにちは。

前の記事で書いた内覧した物件。

夫との家族会議の結果、見送ることにしました。

やはり、物件とリフォームの金額。今後の維持や未来設計を考えると、「ここじゃなくてもいいんじゃないか?」という意見が一致しました。
すごくいい物件でした。本当に惜しい気持ちは捨てられていませんが、今は良くても今後を考えると我が家にはき他にいい場所がきっとあるはず。

家探しはフィーリングって言いますが、内覧後少し経ってアドレナリンが出なくなった時の気持ちも大事。

ということで、家探しはまたリスタート。
いい物件に巡り会えるように、現実的にお店を構えられるように一歩ずつ進んでいきます。

いやぁー、しつこいけど、でも、惜しい。

そもそも、なぜ焙煎士という仕事を選んだのか。
よく聞かれるので、ここで書かせていただこうと思います。


1.私の根っこの部分

1-1.手に職を持つことへの強い憧れ


この憧れはいつからかは覚えていませんが、気付いた時には漠然と持っていました。具体的にどんなものにというわけではなく、ただ、手に職を持っている人がかっこよかった。多分それだけです。

美容師として働く友人にカットしてもらっている時、ハサミを軽快に使う姿を鏡越しに見るのが好きで、かっこいいなぁと彼女によく言っていました。

家具職人として独立した友人も、写真家になった友人も、デザイナーとして就職した後輩も。
自分の手で人を綺麗にしたり、家をおしゃれにしたり。

どこに行ったとしても、”自分と道具があれば何歳になってもどこにいても仕事ができる”ことが漠然とかっこよかったんですよね。

1-2.モノづくりが好き


私の父は建築士で、大学時代は造形学科で彫刻をしていました。若い頃は車いじりをしていたらしく、何か作ることを楽しいと思う性格です。

その為、私が幼い頃から家のセルフリノベーションを手伝うことが当たり前。
お菓子やアクセサリーなどを手作りすることが趣味でしたし、シンガーとして活動していた時にも作詞作曲が好きでした。

作ることが当たり前の環境で育ち、それが根っこに出来上がっていました。

1-3.人を喜ばせることが好き


小さな時から人を喜ばせることが好きな子供でした。ボケてツッコんで人を笑わせることが好きでしたし、「おいしい!」と言ってもらうのが嬉しかったから、お菓子を作って家族や友達に配っていました。
シンガーを目指したのも、私が歌うと周りにいる人が喜んでくれたことがきっかけでした。


2.焙煎士との出会い

2-1.きっかけは、閉店による全員クビ宣告


コーヒーを飲めるようになったのは20代中盤。
当時も別に毎日飲むわけではなかったし、微糖のコーヒーが美味しいと思っていました。
コンビニコーヒーで十分でしたし、スタバに行く時は流行りのシーズンドリンク目当て。
正直コーヒーなんてあってもなくても良かった程度。

その当時、スーパーアルバイターだったのですが、バイト先の一つが本社都合で閉店することを知らされ、全員クビ宣告をされました。
急なことで驚きましたし怒りましたが、今となってはこれが大きな転機になりました。

このままでは収入が減ってしまう!ということで新しい仕事を探さなければいけなくなりました。

いつも仕事を選ぶ時には”今までやったことのない心躍る楽しい仕事がないか?”ということを指標にしていたのですが、当時の私は20代後半。
周りは結婚して子供を育てているか、キャリアを積んでバリバリに仕事をしている人ばかり。

彼氏もおらず、ましてや結婚なんて夢のまた夢。
楽しいからいいやん!と、好きなことだけ選んで生きていましたが、30歳という数字がリアルに見えてきた時、このままじゃ何となくダメな気がしました。
地に足をつけて生きていない気がして焦りを強く強く感じていました。

コンビニで買ったアイスコーヒーを飲みながらその店のスタッフと話している時。
何の気なしに出た「コーヒーの焙煎っておもしろそうよねぇ」の一言。
焙煎士という仕事も聞いたことがあるだけで何も知らないし、周りに1人もいたわけでもなく、本当に特に意図なく何となく。

スタッフの一人が
-「知り合いが自家焙煎コーヒー屋やってるから紹介できんで?」と。
-「え、じゃあお願い。」
というだけの会話がすべての始まりでした。

後日そのお店に連れて行ってもらい、ただオーナーと話すだけの予定がその場で採用が決まり、あれよあれよという間にコーヒー業界へ。

直火式焙煎機


2-2.好きが詰まった焙煎士という職業


飲食業界は長かったのですが、今までカフェで働いたことはなく、ましてやコーヒーに携わる仕事も初めてだったので、”今までやったことのない心躍る楽しい仕事”に就くことに。

住宅街にある自家焙煎珈琲店。お店はそれほど大きくなく、最大15名が座れるかどうかの規模で、店舗の一角に焙煎機が数台置いてある工場が併設してありました。

そのお店で働き始めた時には、キッチンスタッフ兼ホールスタッフ兼ドリップバッグなどの卸先への納品物の製造スタッフ。焙煎はまだまだ先の話。

初めて飲んだオーナー焙煎のコーヒーが本当に美味しかったんです。
コーヒー初心者でしたが、香りも良くほんのりと苦くて後をひかないスッキリさに、衝撃を受けました。

コーヒーってこんなに美味しいのか、奥深いのか、と働きながら感じさせられることばかりでした。

働き始めてから約1年経ったころ、オーナー夫妻からの後押しもあり、本格的に焙煎士として修業させてもらうことになりました。

最初は、オープン前にオーナーに時間をもらって、簡単な講座を開いてもらいました。
その後、焙煎講座に参加し、他の受講生さんと週一回、約3カ月に渡って座学と実践を交えながら勉強。


最初は当たり前ですが、思い通りの焼き加減・味にならないことばかり。
頭ではわかっていても、その日の気温・湿度・火の微調整、少しの要因ですべてが変わる。
トライ&エラー。
何度もやっているうちに、自分で美味しい!と思えるものが焼けた時の快感。

元々のモノづくり好きの性格がここにどっぷりとはまってしまい、仕事が終わって閉店してからも許可をもらって焙煎をする日々。
焼いては人に飲んでもらい、また違う焼き方を試してみて飲んでもらうことを繰り返していました。

  • ブレンドの配合

  • 焼き加減

  • 火からあげるタイミング

  • 淹れる温度

既製品にはない、自分の思った通りの味にする要素がたくさん。
私にしか作り出せないものを生み出せる楽しみが、詰まりに詰まった仕事との出会いでした。

結果として、憧れ続けていた”手に職”を手に入れることになりました。

3.開業、結婚、そして出産を経た現在

あまりにも長くなってしまったので、これ以降についてはまた次回。


ここまで読んでくださってありがとうございました。


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