#2 短編小説 驟雨のち
驟雨のち
「言葉が全てなんだよ」
君のその一言を、僕は今でも鮮明に憶えている。あれは小学校五年の時、何気ない日常の一コマだった筈の給食時間、よく喋る仲だった君が僕に向かって放った言葉だ。どのような文脈でその言葉がでてきたのかは忘れてしまったし、或いは全くの突然出てきた言葉だったかもしれない。僕は直ぐに、そんな筈はないよと一笑に付した――その真意を知ろうともせず、ただ言葉だけを捉えて。これが壮大な皮肉であることに気付いたのは、君が死んで半年後、僕が失意からようやく立ち直ろうとし