超短編小説「高田の場合3」
高田はネギが好きだったがネギを買ってるのがバレるのが嫌で半分に折って買い物袋に入れていた
高田は他人にお前って言われるとイラッとしてその相手のことを嫌いになってた
高田は電車内で近くに外人がいると話しかけられたらどうしようとドキドキしていた
高田は味の素かければ何でもうまくなると思っていた
高田はマンガ喫茶で手垢だらけの漫画を読むと汚い気がして読んだ後おしぼりで手を拭いていた
高田はスーパー銭湯の休憩スペースで自宅のようにくつろいでる人をみて嫌だなぁと思っていた
高田は電車内で目の前に老人がいると席を譲ろうと思うが恥ずかしくて出ないので関係ない駅で降りて違う車両に乗ることにしていた
高田は飲食店で食事の際に口を拭いたナプキンを店員が片付けるときに触るのが嫌だろうと思い小さく折り畳んで手が当たらない場所に置くことにしていた
高田は神社で鳥居に一礼してる人を見るとなんだか滑稽に思えて笑いそうになっていた
高田はドングリが好きだったが松ぼっくりは好きじゃなかった
高田は人前で平気でゲップしたりオナラする人間が嫌いだった
高田は自分みたいに素晴らしい人間が引きこもったり自殺したらもったいないと思うから自殺とかはしないだろうし老ける前に自分の魅力を早く沢山の人に伝えなければいけないと焦っていた
高田はすぐラインを既読して返すと暇人みたいなので少し時間を置いて返すようにしていた。
高田はスーパーの試食販売を見ると子供みたくすぐ食べたくなっていた
高田は気が小さいのでパスワードを変えて登録してたがどれがどのパスワードか分からなくなって後悔していた。
高田は友達に風邪ひいたとラインして心配されたが何日か後に体調を気遣うラインがないとそいつのことを信用しなくなっていた。
高田はめざましじゃんけんで勝つと調子に乗って相手に対して「このザコが」とTVに向かって呟いていた
高田は氷をいれたグラスに水滴がついてテーブルが濡れるのが嫌いだった
高田は私友達いないんですと告白する若い女性芸能人に対して選り好みしてるだけやろと毒づいていた
高田はいくつになっても祝日が何の日か覚えられなかった
高田はテレビ番組の内容を切り取って書くネットライターも好きじゃなかったがその記事に対して「さっきやってたTVのこと書いてて恥ずかしくないの?」などと文句を書いてる連中も好きじゃなかった
高田は気に入ったフレーズを何度も言って周りに鬱陶しがられていたが
段々 鬱陶しがられることに面白くなってやめたくなくなっていた
高田は飲食店に入店した時にいつまでも店員がこないと勝手に席に座っていいタイプの店なのかとちょっとドキドキしていた
高田は職場で若い女の子と会話するときなぜか優しいお兄さんのようなキャラを演じてる自分が気持ち悪いなと思っていた
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