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ゾクッとした話「誰の?」

中学の友人でTという奴がいてそいつは勉強が出来ないのに真面目なタイプだった。変に真面目過ぎるというか例えていうならマニュアルが書いてある取扱説明書をじっくり読み込んでその書いてある手順通りに時間をかけて作るような愚直な奴だった。そんなTが住んでいた地域は田舎特有なのか非常に仲間意識が強く地元最高!とか地元は聖地!とか恥ずかしげもなく語る連中がいて僕はそういうノリが苦手だったのでどこか冷めた感じで見ていたがその地域出身の奴で仲が良い友人が何人かいたので地元愛があるなしに関係なく大人にっても地域の繋がりを超えてよく遊んでいた。だがあるとき何気なく煙草を吸っていたらその友人の1人が「ぺささ、AとかBの前でタバコ吸うのやめた方が良いよ。あいつらタバコ嫌いだからさ」と注意してきて僕は「うんっ?」と違和感を感じた。AやBはその友人と一緒の地域出身の大切な仲間か知らんがなんで俺がそんな地元のくだらないしがらみのタバコ嫌いな奴等のために我慢しなきゃいかんねん!と思って「ああそうなの?」と空返事をしながら内心そんなもん知るかと聞き流していた。それからしばらくして地元の友人数人で旅行に行った時、僕はTの車に乗せてもらって集合場所まで向かった。すると車のダッシュボードのところにタバコが置いてあり、なんでこんなとこにタバコがあるんだろう?と不思議に思ったので「なにこれ?誰の?」と聞いたらTが「ああ、それ俺の」と答えたのでびっくりした。Tがタバコを吸ってるとこなんて見たことなかったしタバコ嫌いだと勝手に思っていたから「え?なに?おまえタバコ吸うようになったんだ」と返すと「いや、俺 実は前からタバコ吸ってたんだよね。ただ地元の連中タバコ嫌いな奴多いからタバコ吸ってるのずっと隠してたんだよね。」と驚きの発言をしてきた。いくら地元でタバコ嫌いな奴がいるからって何年もタバコ吸ってるのを隠してるなんてありえないだろと思った。というか内心怖かった。ゾクッとした。きっと完全犯罪するようなタイプはこういう奴なんだろうと僕は勝手に解釈してしまいそれ以上何も聞けずに「ああそうなんだ」といつものように空返事をしてその場をやり過ごそうとしていた・・

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