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僕はきっと出世しないだろう。

昔 サラリーマンをやってる友人の行きつけの小料理屋に連れてってもらったことがあって、入ると40代ぐらいのちょっと強面の兄貴っぽい感じの店主が1人で切り盛りしていた。それでその人が友人を確認すると親しげにため口で話しかけてきて僕はその会話のやりとりを横で聞きながら愛想笑いを浮かべ注文した料理とお酒を飲んでいた。すると向かい側に座っているおじさんに友人が気づき僕に小声で「あの人社長 社長」と呟いてきた。どうやらどこかの会社の社長らしく友人はどうにかしてその社長と懇意になりたいみたいで急にその人に向かって「○○さんお久しぶりです!」と挨拶をしたら「おお」と返され、続けて「僕○○さんに会えて嬉しいっすわ!」と平気で恥ずかしいセリフを吐くと「なにいってんだよおまえ」と社長に笑いながら返された。だが友人はニコニコしながら満足していたようで 僕はそのやりとりの間 苦笑いを浮かべることしかできず ただ居づらいなと思っていただけだった。その後 店主が「これサービス」と言って頼んでない料理を出してくれたのでキョドリながらも「ありがとうございます」と言って残さないように黙って食べていたが(なんかこんな気を遣って飯食うの嫌だな 早く帰りたい)と友人には悪いがこの店から脱出することを心待ちにしていた。しばらくしてようやく店を出て歩いていると友人が不満げにあの店の悪口を言い出しもう行かんと怒っていたから「どうしたよ?」と聞いたら「いや俺 あの店けっこう行ってんのにさ、俺たちとあの社長に対する対応が違ってたよな。サービスの料理だって俺たちより良いの出してたぜ。腹立つわ~」と愚痴ってて(いやおまえもそうやんけ)と思ったが口には出さず「まぁ社長だからなしょうがないよ」とだけ返していた。


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