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リスク管理の秘訣③

以前の話はこちらから
リスク管理の秘訣①
リスク管理の秘訣②

これまでビットコインに投資した戦略を
中心に探ってきました。

そうしてこそ、
この連載の核心となる内容を
理解しやすくなるからです。

ビットコイン以外の暗号資産を使って
バックテストをすれば、
収益率、MDD、勝率、損益比の数値が当然異なります。

しかし、結論はあまり変わらない
ということだけ覚えておけばいいのです。

市場にはビットコインの他にも
数多くの暗号資産が存在し、
その種類も増えてつつあります。

その中、いろんな暗号資産に分散投資することは
悪くない方法だと思います。

結論からいうと、
分散投資でリスクをある程度減らすことはできますが、
前述した「現金の割合を増やしてボラティリティを調節する」
よりは効果がはるかに弱いです。

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数えきれないほどのアルトコイン


全ての金融資産は上がる時は
だいたい別々に上がります。
(それで値上がりの株だけ上がり続け、
そうでない株は横ばいの場合が多いです)

一方、値下がりの時は一緒に下がる傾向があります。
(リーマンショックとか
最近の新型コロナウイルスの影響をみても)

このため、
「俺は20銘柄の暗号資産に分散投資したから、
ビットコインが80%下落しても安全だ」
と思ったら大間違いです。

ビットコインが急落すれば、
他の暗号資産も
必然的に一緒に急落する可能性が高いのです。

値下がりの幅に差があるくらいでしょう。

日経平均が下落すれば、
ほとんどの銘柄も暴落するかのように、
全体の市場の状況が悪化すれば、
銘柄同士の相関係数(correlation)が
急増する傾向が強いですが、
これは暗号資産の市場も同様です。

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分散投資=相関性の低い資産への投資

それでも分散投資でノーベル賞を受賞した人もいるので、
この部分を少し見てみましょう。

ハリー・マーコウィッツ(Harry Markowitz)
という経済学者ですが、
「相関性の低い資産に投資せよ」
という名言を残した論文で博士学位を取得し、
時間が経つほど光を発するこの名言の威力に支えられ、
1990年ノーベル経済学賞を受賞しました。

相関性(correlation)とは、
数学や統計を勉強した人はご存知だと思いますが、
二つの資産がどれだけ同じように動くかを示す指標です。

相関関係の範囲は+1から-1までで、
ある二つの資産の相関関係が-1の場合、
収益率は完璧に反対に動きます。

日経平均が0.4%上がった場合、
ビットコイン価格が0.4%下がることが
毎日繰り返されれば、
日経平均とビットコイン価格の相関関係は-1です。

逆に日経平均が0.4%上がって、
ビットコイン価格も0.4%上昇することが
毎日繰り返されれば、相関関係は+1です。

もちろん、相関性が完璧に1や-1の資産はありません。
概ね、次のように解釈すればいいと思います。

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分散投資では相関性が高いほど、
つまり+1に近接するほどよくないです。

A、Bの二つの資産があるとしたら、
一緒に下落したら分散投資の意味がないのではないか。

逆に相関性が低いので
-1に近接するほど有利です。

例えば、日本の株と米国の10年国債の相関性は-0.53です。

つまり、日本の株が値下がりすれば、
米国債が値上がりする傾向が強いので
分散投資の効果がかなりあるとのことです。

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(Source: J.P.Morgan Asset Management 「Guide to the Markets Japan | 2Q 2019 | As of March31, 2019」)

暗号資産間の相関関係はどうでしょうか?

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(Source: https://research.binance.com/analysis/correlations-q3-2019)

残念ながら、暗号資産間の相関性は
上記のチャートのようにまだ結構高い(青色)です。

例えば、2019.6.30~2019.9.30の相関性を分析すると、
ビットコインとこのイーサリアムの相関性は0.81、
ビットコインとリップルは0.63で、
イーサリアムとリップルは0.81でした。

したがって、暗号資産の投資のリスクは
分散投資だけでは相殺しがたいです。
効果的なリスク管理のためには
ボラティリティの調節が不可欠であり、
分散投資はボラティリティの調節と組み合わせる場合、
最大ドローダウン(MDD)を
少し下げる補助的な役割を果たすことができます。

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ちなみに暗号資産とS&P500は相関性が低く、分散投資効果が少しあるようだ(Source: https://twitter.com/sifrdata)

暗号資産を1つだけ購入すると、
なんだかリスクが高そうですが、
では何種類の暗号資産を買えばいいでしょうか。

このような問題を研究して
論文を発表した学者たちもいます。

彼らは
「投資の対象を数百個に増やしたからといって、
暗号資産の投資のリスクが
なくなるわけではありません。
すでに、下げ相場では全ての暗号資産が一緒に暴落する」
と説明しました。

しかし、銘柄の種類を増やせば、
暗号資産へのリスクは少し減らせます。

何も知らずに「変なアルトコイン」に投資して
その「変なアルトコイン」がいきなり消えてしまうと
投資資金が紙切れになってしまいます。

ですが、保有していた暗号資産すべてが
突然、同時に消える可能性はおそらく低いでしょう。

投資の書籍の多くは
20~30銘柄に分散すれば
分散投資の効果が極大化されると説明しています。

しかし、残念ながら
暗号資産は流動性が十分なものがそれほど多くありません。

中の人はLiquid取引所で
主に取引されてあるビットコイン、
イーサリアム、リップル、
ビットコインキャッシュを取り扱っています。

以上が高収益を目指せる方法についてです。


次回からはリスクを賢く制御しながら、
高収益を実現できる実践戦略を学んでみましょう!

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