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沖縄での平和学習の展開

20秒まとめ

  • 戦争体験者の高齢化や、学校現場における平和学習以外の負担増などで、平和学習が過渡期にきている。

  • 沖縄の平和学習の新たな形として、紛争解決学の要素を取り入れた平和学習は有効ではないか。


沖縄の平和学習

 沖縄では、毎年6月23日の慰霊の日前後になると、小中学校で平和学習が盛んに行われる。戦争体験者の方々が高齢となる中で、体験談を直接聞くことは年々難しくなっているが、多くの方々の絶え間ない努力によって、戦争を忌諱し、平和を愛する思いが沖縄に息づいている(県外出身の私からすると息づいていると感じることは多い)。

 しかし、教育関係者の声を聴くと、毎年、「平和学習をどうするのか」という悩みがあると聞く。平和学習を充実させてたいが、ほかの職務があるために昨年度と焼き直しみたいな形になってしまうとも聞いた。また、戦争体験者が高齢化する中で、昔から行われてきた証言を聞きながらの学習が難しくなっているとも聞く。

 ちなみに、これらの課題は僕が発見したわけではなく、おそらく、過去10年くらいは同じことが言われていると思う。そして、いよいよもって過渡期だと思っている。
 そこで紛争解決学的な要素を平和学習に取り入れてみたはどうかと思っている。

紛争解決学とは

 紛争解決は争い(国家間戦争、個人間のケンカなど)を平和的に解決することを目指す。端的に言うと、争いを起こす背景(歴史、差別、貧富の差など)や当事者のニーズ(お金、食べ物など)を分析し、争いの当事者全てがWin-Winとなることを目指す。
 
 例えば、宮城さんと、大城さんが、八百屋で残り1つとなったレモンを取り合っていたとする。宮城さんはビタミンCが摂取したい、大城さんはレモネードを作って飲みたい。どちらも譲らない。さて、どんな解決策を提示したらいいだろうか?

私は個人的にあんまりレモンは好きではない。

 レモンをパカっと半分に分ける方法もあるが、紛争解決的には、レモン自体ではなくビタミンCを欲している金城さんにはビタミンCのサプリメントを勧め、當間さんにレモンを渡すことで両者の満足を模索する。実際の争いはレモンのように単純ではないが、紛争解決には物事を多角的に見る視点や思考の柔軟さが重要だ。そしてそのような柔軟性は沖縄に既に備わっていると思う。

 タコライス、ゴーヤーチャンプル、カンカラ三線など、元来なかった海外の食べ物を沖縄風にアレンジして新しくしたり、戦後にモノがないなりに工夫するということは、沖縄の経験値として既にあり、紛争解決的な思考と親和性が高いと感じる。(そうでもないのか)

沖縄の抱える可能性

 県外の修学旅行生も多く来沖して沖縄県平和祈念資料館を訪問している姿を見ると、平和な社会づくりに対する沖縄の貢献は沖縄県外にも及んでいると感じる。
 その一方で、ウクライナやミャンマーなどの社会混乱や戦争の最中にある国に対して、沖縄からはどんなアプローチができるのか。私は、紛争解決人材の育成が沖縄に合っているのではと考えている。
 沖縄がアジアの平和に重要な役割を担っていくとすれば、平和づくりに貢献できる人材育成、つまり、過去の惨禍を学び、争いの解決に貢献できる人材が必要だろうと思っている。また、そんな人材が増えれば、沖縄がアジアの紛争解決地として、日本だけではなくアジアの平和づくりに貢献する将来に期待している。

ちなみに、沖縄県に代表される行政は、紛争解決学ではないが、平和を愛する人材の育成を行っている。いい取り組みだと思うので、ぜひ続けてほしい!

ちなみに、ちなみに、先ほどのレモンの事例などは以下の本に詳しく解説してあるので、興味のある方は見てほしい。


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