『ぱくりぱくられし』 木皿泉

脚本家木皿泉さんの最新エッセイ集を読了。ため息が出るほどの文章のうまさに、改めて感服。

2人が(木皿泉さんは、ご夫婦で2人で木皿泉を名乗っておられる)読んだ本からの言葉を引用しながらの前半は、色んな意味でのヒントがたくさんだった。

妻鹿さんのエッセイ部分は、重心の低い、きちんと落とし所がハマった文章にため息。うまい!さすが!

最近忘れてしまいがちな、何かと何かの間とか、なんとなくそうなったとか、変化することとか、終わることとか、そういう0と1では、白と黒では、言い表せないような表現に勇気と優しさをもらった一冊だった。

最後に印象に残った文章を2つ。

『私を裏切った人たちのことを、「いなくなってしまえ」と思う日もあったが、考えてみれば私がそんなことを思わなくても、いずれその人たちも私も死ぬ日が来るのだと気づき、なんだか無駄な感情だなぁと思うようになった。その後、私の知らないところで、私を助けてくれていたということを知った。人はずっと同じところにとどまってはいないのである。怒りの中にとどまっている私もまた、そこから抜け出してゆくだろう。』

『今、苦しい思いをしているあなたへ。それは永遠には続かないから大丈夫。人はきっと変わることができるはず。この本で、私たちは、自分に向かって、世の中に向かって、そういうことを言いたかったのだと、このあとがきを書きながら今気づいた。』

人は変わることができるのだ。

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