前に進む言い訳をエッセイはくれる気がする

僕の家の近くには福屋さんがある

そのお店はインスタグラムをやっていて、それを見るとすごくおしゃれな良い服がいっぱい投稿されている。
よく見てみるとどうやら国内外、色んな所に買い付けに行っているらしい。
これはぜひ行かねば!
そう思うものの個人の服屋さんってやっぱり入るのにちょっと勇気がいる。

郊外のショッピングモールに入っているお店はなんの気無しに入れるし、近くの都市の百貨店やファッションビルに入っているお店も最近は入れるようになった。
そんな僕だが取り扱っている商品の価格を見ると少し尻込みしてしまう。
だからあのお店に行けるようになるのはもう少し先だと思っていた。

それでもこの前の休日、その服屋さんの中に僕はいた。



僕はラジオが好きだ。ラジオを通すとパーソナリティの人となりが魅力的に伝わってくる。その中でもオードリーのオールナイトニッポンはよく聴く。
そこで若林さんがラジオをやっていてよかったことを話していた。それは普段やらないことや少しためらっていることをラジオのネタ作りを口実にやることが出来るということだった。

僕にとってこのエッセイも同じかもしれない。

仕事が建て込みちょっと久しぶりの休日。夜に用事があったもののそれまでの時間は特に予定は決めていなかった。
そんな日は陽が傾くまでダラダラしている事が多かったがエッセイのネタも尽きてきたので少し外をふらつくことにした。

いつものように当てもなく自電車で街を回っていく。

すると近くに行きたいと思っているが行けていない服屋さんが有ったことを思い出した。
しかしなんの気無しに出てきたため持ち合わせも少ない。カードもあるが今月は使いすぎたから少し抑えようと心に決めたのは三日前。

流石に今日ではないか。

前までならそこで終わっていた。でも今の僕はエッセイのネタに困っている。なら行くしかないでしょ!

そう心に決めてからはあっという間だった。

お店に入るとインスタグラムでよく見ていた顔が話しかけてくれた。
軽く世間話なんかをしながら服を見る。

思いの外話は盛り上がり、店長は東京出身で大手のブランドなんかにも勤めていたらしいが縁あってこっちに要ること。あまり格式張って入りづらい店にはしたくないと思っていることなど色んな話を聞いた。
話をしながら試着をしていると着こなしのアドバイスなんかもしてくれて時間はあっという間に過ぎていった。

話は盛り上がり、、、

お会計の後にコーヒーもだしていただいた。そこで更に音楽の話とか、人生の話なんかもしてただ服を買う以上の体験ができたと思う。

消して安い買い物ではなかったがいい経験になったし、このお店を知れたこともすごく大きかったと思う。

もしエッセイを書いていなかったらこの体験をするのもしばらく後だったかも知れないし、結局あの服屋さんに行かないまま僕は死んでいっていたかも知れない。

エッセイを書く理由は色々あるけれど、

こういう体験ができるきっかけを作れるのはすごく大きいと思う。

僕はよく晴れた温かい節分の日に温かいコーヒーの香りを纏った大切な思い出ができたことに心温まり、来月の財布の中身が寒くなる事実を少し引きずりながら家路についた。


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