FAQのコーナー 【ばね座金の功罪】

Q1.ゆるみ止めに効くの?効かないの?

ゆるみ止め効果が全くないとはいえないが、どういう条件で効くのかはっきりとしたデータも理論もない。具体的に言うと「効かない条件」のデータがあるが「こうしたら絶対効く条件」はまだ分かっていない。

そもそも100年以上前から使い続けられている古い部品だし、これまで経験則でなんとなく使われてきたにすぎない。
「今ゆるんでいないから、たぶん効いているのだろう」としか言えないし、「新しい部品・場所に使いたいんだけど効くの?」という問いに対しては「やってみないと分からない」と答えるしかない。
つまり、ケースバイケースとしか言えない。もっと確実な方法・ゆるみ止めアイテムがあるので、そちらを使うのがより良い設計だと思う。

Q2.ばね座金はスキマを埋めるんだ。非回転ゆるみを防止するんだ。

 考え方は間違ってないけど、ばねの力は一般的な締め方したときのボルト軸力の10%以下です。10%以下だったらそれもう「ゆるんでる」って言って良くない?なんなら脱落防止としても頼りなくない? 
詳しくはこの記事読んでください。Part 3/6 ばね作用の検証

Q3.座金が食い込むことでゆるみ止めになるのでは?

なる場合もある。
ただし平座金と併用してはいけないし、硬度や摩擦係数、振動とばねの切れ目の向きなどいろんな要素がうまくかみ合わないと機能しない。
硬度が良くないと食い込みが浅くなるし、オイルがあると滑って機能しないようだということが分かっている。
食い込み方も、食い込んだ後の挙動も不安定なので「同じ機械・場所・使い方なのにゆるんだりゆるまなかったりする」が発生するかもしれない。
詳しくはこの記事読んでください。 Part 4/6 食い込み作用の検証

Q4.脱落防止になるの?

 初期軸力のおよそ10%以下になって初めて脱落防止の働きをする。それでも価値があるケースなら脱落防止として使える。
詳しくはこの記事読んでください。Part 3/6 ばね作用の検証

Q5.使うのやめたほうがいい?

 今使っていて、ネジがゆるんでないなら使い続ければいいと思う。すでに緩んでるなら別のゆるみ止めを考えたほうがいいと思う。

Q6.外していいか?

 知らん。ゆるみ止めになる場合もあるし、ならない場合もあるって言うとるだろが。既にゆるんでるなら外してもいいかもね。

Q7.東大の先生が効かないって言ってるって聞いたけど。そういう研究結果があるらしい。

 前提条件が「潤滑状態」(オイル塗布状態)であるならそういう結論になる。シミュレーションでも実験でも、バネ座金のほうがゆるみやすいという結果になっている。泉先生の論文をよく読もう。「無潤滑状態」の場合、つまりオイルを塗っていなく、摩擦係数も特別低くない場合に関しては、ゆるみづらい実験結果もある。ただ、データのバラつきが大きく、効果があるような、無いような、、、といった感じ
詳しくはこの記事読んでください。 Part 4/6 食い込み作用の検証

Q8.プラスチックとか木材とか柔らかい素材なら効くのでは?

 知らん。ケースバイケース。
まず、この説には「ネジとばね座金の間では滑らない」という前提条件が必要だ。その上で柔らかい素材の場合、食い込んでもすぐに掘り返されてゆるみ止めの抵抗にならないのでは?という仮説も立てられる。理論式も実験結果もないので結論はケースバイケースの域を出ない。

 柔らかい素材は座面の陥没、あるいは経時的な変形(クリープ変形)が考えられる。そういった場合に、ばね作用で軸力を補償できるが・・・その量は初期のおよそ10%と小さい。
詳しくはこの記事読んでください。Part 3/6 ばね作用の検証

Q9.使用上の注意は?

 1.油を塗るな、油汚れは落とせ
 2.経年劣化してへたるから必要に応じて交換すること。
 3.座面が荒れすぎていたら必要に応じて均せ

ばね座金の功罪 目次

Part 1/6 この記事の目的
Part 2/6 ゆるみ試験結果の収集分析
Part 3/6 ばね作用の検証
Part 4/6 食い込み作用の検証
Part 5/6 付随的な作用の検討
=Part 6/6 ばね座金の使用指針=

コラム① ゆるみ現象の分類
コラム② 世界のばね座金(準備中)
FAQのコーナー

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