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4. 知らない単語を勝手に解釈の恐怖

※「番外編-夢の読者登録1,000人達成記念告白」として発行したこの第四号は、復刻版には含めず、飛ばそうかとも思ったんですが、、、やはり含めることにしました。

読む前の注意事項も、当時のまま掲載しておきます。

1.話の最初の段階で、私の勘違いの内容に気づいてしまった方、運命の時が来るまで、気づかなかったあの時の私になりきって話を読み進めて下さい。

2.あんまり面白くないとか、なぁ~んかシラけるとか、気分が乗らな~いという場合は、無理して読まずに、今号についてはサッサと忘れて下さい。

3.幸か不幸か、第四号から購読を始められた方、筆者の人間性を判断するのは、少なくとも次号を読んでからにして下さい。

4.お食事中の方(は読んでいる訳ないですね)や、これからお食事をされる方は、食後に読んで下さい。

5.結婚しないと決めている訳ではない嫁入り前の筆者が、この先そのチャンスを逃がすことが無いよう、「下手英」読者以外への口外はしないでいただけると…。(※追記:なっ、なんと、20年経っても状況は変わっていません。(^^;)ということで、誰かが英語の勘違いで落ち込んでいる時などに、英子の勘違いを笑いのネタにして場を和ませる等、ご自由にご活用下さい。)

それでは、いつでも途中で「読むのを止めても可」ということを念頭に、本文を(希望者の方のみ)読んでみて下さいね。 

今回も、かなり長いです…。長文の嫌いな方、毎回、毎回、本当に申し訳ありません。  英子

★今回のお題は…★
番外編-夢の読者登録1,000人達成記念告白
「知らない単語を勝手に解釈の恐怖」

それは、もう、5年以上も前のこと。フィジーで暮らしていた頃に起きた出来事です。(※追記:メルマガ発行時の2003年から遡って5年以上前です。)
フィジーでの仕事の契約期間の終わりが近づいていた私は、フィジーに行く前に暮らしていたニュージーランドに戻ることを既に決めていました。

その事件が起こったのは、ビザの申請に必要な健康診断を受けた時でした。

海外生活も4年目を迎えていたその頃、「日常英語には不自由しないわよ~」という油断か、驕りか、元々いい加減な性格だったからか、細かいことを気にしない大雑把なところがあったからか、シャイだったから(それは無いな~)か、とにかく、「?」と思った単語の意味を敢えて確かめなかったことが、事の始まりでした。

これは、その勘違いの瞬間から、翌日、その事実に気づき、無事に問題を解決する(?)までのドラマです。

その頃私は、フィジーのナンディ(首都はスバです)で暮らしていました。
フィジーの人たちの中には、既に移民している親戚などを頼って、海外へと移住する人たちも結構います。ナンディには、移民ビザの健康診断ならココへという個人病院がありました。確か、スバのニュージーランド移民局で紹介してもらったと記憶していますが、私も、その個人病院(というよりは、診療所)へ、ビザ用の健康診断を受けに行きました。待合室で待っている間、受付の上に、「なんでこんなところにあるの~」と思わず驚く、横に文字が流れる電光掲示板が設置されていて、ビザ用の健康診断なら当院へ…というメッセージに続いて、取り扱っている各国の名前が表示されたりしていました。

フィジーでの就労ビザを申請した時に、ニュージーランドでビザ用健康診断を受けたことがあったのですが、その時よりも検査内容が遥かに多く、血液検査やレントゲン撮影も必要だと言われました。
が、ナンディにはそういった検査用の施設が無いので、医師による診察はナンディで、それ以外の検査は隣町のラウトカまで行くように言われました。

ビザ用の診察を受けた後、窓口で、血液検査と尿検査は**という検査専門の施設(名前は覚えていません)に行き、レントゲンは、ラウトカ病院へ行くようにと、それぞれで必要な書類をもらいました。その結果を持って来れば、最終的に提出できる状態にしたビザ用健康診断結果をまとめてくれるとのことでした。

ここで、「t???」という単語と共に、カメラのフィルムの容器よりちょっと大きいくらいのプラスチックのケースを渡されました。(※追記:デジカメ世代の方は知らないかも知れませんが、当時の一般的なカメラのフィルムケースは、円柱形で高さ5cmx直径3cmくらいの大きさです。)
蓋以外の部分は透明で、その蓋は、ネジ式でしっかりと閉めることが出来るようになっていました。
「urine」という言葉をその前に聞いていたし、「翌朝この容器に入れて…」と言われたので、「t???」というのは、医学用語で尿検査だと判断した私は、そのまま、ナンディのお医者さんを後にしました。

ラウトカは、ナンディから、信号もなければ渋滞なんて絶対ない道を車で30分くらいのところにある港町です。ナンディにMHという大きなスーパーがやってくる前は、肉はこのラウトカのスーパーまで買いに行ったりしていました。大きなマーケット(市場)もあります。

仕事の休みを取り、翌朝、学生の気分に戻ったつもりで「朝一番を容器に入れ」、颯爽とラウトカへ向かいました。
ラウトカ病院は、フィジー人のスタッフが子供を出産した時に、お祝いに行ったことがあったので、場所は分かっていました。
が、検査専門施設の場所は説明してもらったものの、行った事のない場所だったので、先に、そちらへ向かいました。

一瞬、見逃してしまいそうな場所にあったものの、無事に辿り着き、受付へ…。書類と一緒に、持ってきたものを差し出そうとしたら、採血をする時に担当の医師(ドクターって呼んでいたと思うので)に渡すように言われました。

検査結果は、10ドル余分に払えば、その日の午後受け取れるというので、郵送してもらったら、いつになるか分からないし、受け取れる時に受け取っておくのが確実と、追加料金を支払うことを承諾し、即日受け取りにしてもらいました。(今は、検査システムが変わっているかも知れません。)

がら~んとしてて、あまり人気は無かったように記憶しています。
ほとんど待つこともなく、採血をするというので、受付の前の廊下の途中にある、採血の場所へ行きました。確か、壁に沿ってカーテンがあり、そのカーテンを開けると、その奥は、ちょうど壁がくり貫かれた状態の畳一畳分くらいのスペースになっていて、そこで採血がしてもらえるようになっていたと思います。(おぼろげな記憶ですが…)

担当のお医者さんから、採血の前だったか、後だったか忘れてしまいましたが、尿検査用の紙コップを渡されました
「ちゃんと、朝一に採って来たわよ~」と、自信満々で、外から見えないように紙袋に入れて持って来た「容器」を差し出したところ、

「???」

そのお医者さんの表情を見て、私も

「???」

その時、すっ、全てが明らかになったんです。
そっ、その容器には、違うものを入れて来なければならなかったんです。
その時点でも、その単語を知らなかった私は、身振り手振りで確認し、私が自宅から持ってくるべきだったものは、別物だったことが判明しました。

お医者さんは、既に笑っていました。
私も、顔をヒクヒクさせながら笑っていました。(笑うしかない…。)

そんな私を気遣ってくれたお医者さん、
「今日は無理だろうから、明日か、後日に持って来てくれればいいよ」と。

すっかり、結果を今日受け取るつもりになっていた私は、頭を数秒間フル回転させた後、

「チャレンジしてみてもいいですか」

と、無謀な発言を…。(なんでそんな発言をしたんだか…。)
私の発言に、かなり戸惑うお医者さん。

「もし、もしも調達出来た場合には、どうしたらいいですか?」

と泣き笑い状態で聞く私に、信じられない~~~という顔で、

「うっ、受付で僕を呼んでもらって」

と、呆れながらも、いや、その気迫にタジタジしながらも、新たな容器を差し出してくれました。

それから、トイレへ向かった私。
幸い、そこには誰もいませんでした。

あっ、あの時、「今、何て言ったんですか」とか、「その単語の意味は」とか、少なくとも、「この容器には**を入れるんですよね」と一言確認しておけば…。

後悔・後悔・後悔・後悔・後悔

が、立ち直りが早い私。

明日(金曜日)又来るのも難しいし、明日が駄目なら来週になるし…。
(平日の午後や週末は、結果の即日受け取りは不可でした。)
ビザの申請期限も迫っていた私は、ごちゃごちゃ考えていても仕方がない。ここは、チャレンジするしかない!と心を決めました。

constipation気味(日本語で言うとなんだか照れるのに、英語だと平気な単語って結構ありますよね)の私に、果たしてそんなことが可能なのかと思いつつ、さっきのお医者さんの複雑な笑い顔を思い出したり、自分の滑稽さに呆れたりしながらトイレへの中へ入ったら、無い

トイレットペーパーが無い!

ポケットティッシュは持っていたものの、状況が状況だけに…。
出来れば、人と話したい気分ではなかった私ですが、仕方なく受付へ…。

「あっ、あの~、トイレットペーパー下さい。」

私のプライドというか、恥じらいというか、いろんな物が音を立てて崩れていきました。

「使った後、また、持ってきてね。」

と冷静に言う、受付のお姉さん。どうやら、持ち帰ってしまう人が多いことが理由だったようです。そういれば、価格の安い塩はテーブルに置いてあるけれど、胡椒は持ち帰る人が多いので、頼まなければ持ってきてくれないというレストランがフィジーにはあったような…。

「ありがとう。わかったわ。」

と笑顔で答えながらも、(いいわよ、終わったら持ってくればいいんでしょ)と心の中では呟きつつ、ちょっと投げやりになっていました。
見ず知らずの人に、これからトイレで…と公言した後に、チャレンジした経験など、一度もなかった私は、すっごく恥ずかしかったんです。

その後の細かい説明は省きますが、心理的な葛藤をご紹介させていただくなら、

だいじょうぶ、あなたなら出来る。
どうしてもニュージーランドのビザが欲しいんでしょ。だったら、これくらいのことが出来なくてどうするの。
人生、この先、もっともっと大変なことがいっぱいあるはず。これくらい、乗り越えてみせなさい。

(かなり笑ってしまいますが、上記全て、あの時、真剣に自分に言い聞かせていた内容で、事実です。)

この心の葛藤は、かなり続きました。

ふと、冷静になると、

あ~あ、あの時、たった一言確認しておけば、こんなに恥を掻くこともなかったのに~。
(検査担当のお医者さんとの間に漂った空気は、言葉では説明出来ません。ちなみに、私は、大勢の人の前で話をしたりすることは全然平気ですが、人前で鼻をかむのが妙に恥ずかしかったりするタイプです。)
何年海外で暮らしてても、毎日英語を使ってても、出会わない言葉ってあるのよねぇ~。
これからは、分からないことは、ちゃんと確認しようっと。

反省と分析と今後の展望(?)…。
そして、

涙ぐましい努力をする自分の姿に、泣き笑い…

などを繰り返し、

「人間、何事も、自分を信じてやれば出来る」

ことを最終的に実感。

受付にトイレットペーパーもきちんと返し、担当の医師を呼んでもらい、

しっ、信じられない~~~という驚きの表情の医師に「汗と涙の結晶」を渡し、

その日の午後に結果を受け取れることを再確認して、ラウトカ病院へと向かいました。

ラウトカ病院では、レントゲン撮影までにかなり待たされましたが、これまた領収書を発行出来ない10ドルを払えば、結果を直ぐに渡せるよと窓口のお兄さんに言われたので、10ドルを支払って、そのまま待ちました。

血液検査をした施設が閉まってしまう前に、検査結果を受け取りに行かなければならないのに、レントゲン写真の受け取りまでに予想以上の時間が掛かり、あんなに頑張ったのに、今日中に両方の結果が受け取れなかったら大変と、かなり焦りましたが、ギリギリで両方の結果を無事に受け取ることが出来、私の長い一日が終わりました。

え~、なぁ~んだ、そんなこと~、全然大したことないじゃないと思われた方も多いかと思いますが、私にとっては大事件だったんです。
今でも、あの日のことを思い出すと、笑ってしまうと共に、あの時の、「絶対になんとかしてみせる!」といった執念のようなものは何だったんだろうと考えることがあります。
その後、決して簡単ではありませんでしたが、無事にビザも取得することが出来、いろんなことがありましたが、今日まで何とか頑張ってこれました。
車の事故やサイクロンなど、フィジーでは危険なことも体験したのに、「頑張れば何とかなる」という「大きな自信」を与えてくれたのは、あの日のトイレでの出来事だったような気がします。

さてさて、問題の単語ですが、読者の方々の中には、そんなの常識!と思われた方もいらっしゃるかも知れませんが、私は本当に知らなかったんです。予想も付きませんでした。

答えは:
「Stool」

だったんですね。正確には、きっと、「stool test」と言われたんだと思うのですが、その前に、urine testとblood testはラウトカで受けてと言われていたことや、受け取った容器と、通常の健康診断で思いつく検査として、勝手に、尿検査以外は有り得ないと判断してしまったんだと思います。

「t***」と思ったのは、ストレスの無い初めの"S"を聞き逃してしまったからだと思います。
先日のアメリカズカップ(ヨットレース)でも、スイスチームのAlinghiの"A"が聞き取れなくて、何度聞いても、Linghi、Linghiと言っているように私には聞こえていました。

皆さんも、英語に慣れていても慣れていなくても、知らない単語には気をつけて下さいね。会話の中で、細かい単語にこだわる必要はないと思いますが、その会話の「鍵」を握る単語は、必ず確認した方がいいと思います。(経験者は語る…。)

そして、今回の技は:

「キーポイントとなる単語の意味は、その場で必ず確認しましょう!」



※この記事は、2003年に発行していた「下手英メールマガジン」で紹介していた「下手な英語を使うための技」に加筆修正を加えて、現在無料再掲載中のものです。令和版は、近日有料公開予定!

下手英メールマガジン発行から20年後、2023年の後書き:
今読み返してみると、メルマガを発行していた2003年当時は覚えていたのに、今は忘れてしまっている部分もあります。でも、細かいことは忘れていても、断片的な場面や、あの時の「根性?」みたいな感情というか熱意というか、目の前にある問題を解決しようとする一生懸命さは、思い出すことが出来ます。読み返しながら、思わず、笑ってしまいました。
何があっても「何とかなるさぁ~」という楽天的な気質は、今も変わっていないかも知れません。

英語圏で暮らしていると、何年経っても、英語に関する勘違いや失敗はつきものです。noteでのフォロワーが1000人を超えることはあり得ないと思いますが、メルマガ令和版でも、実際に英子の身に起きた、そういった勘違いや失敗をご紹介できたらと思います。勘違いや失敗から学ぶだけでなく、勘違いや失敗を笑い飛ばすことも、下手な英語を使う上では必須です!


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