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パタンナー、生地を染める。奥田染工場「奥田塾」にて染色修行中。

こんにちは。

レタルのリニューアルへの過程を綴るnoteマガジン『レタル、お直し中』の第4回目。

新しいレタルは今までといろいろと大きく変更しているのですが、「今回は生地オリジナル生地を作成しちゃうぞ!」というお話の第一弾。

今までの「白いシャツの店レタル」では、その名の通り「白いシャツ地」のみを扱っており、生地問屋さんから定番の白い生地を仕入れていました。

生地にもこだわりを持っているので、実際に兵庫県西脇市の島田製織さんに訪問するなどしていたのですが、今までは受注生産なので再現性を優先してきました。

リニューアルしたレタルでは、小ロットの量産に変更するため、今まで扱えなかったオリジナル生地を作って行こうと思っております。

オリジナル生地をせっかく作るなら、直接工場にも行っていろいろ製造現場を見てみたいなと。

きっと現場に足を運んでみないとわからないことはたくさんあると思うし、行ってみて初めて生まれるアイデアもたくさんあると思うんです。

そんな考えの一環として、奥田染工場のワークショップ『奥田塾』に入ることにしました。

奥田染工場ホームページ

奥田染工場の代表の奥田博伸さんとは、今まで仕事はしたことがないのですが、わりと縁が深く。

新宿に行ったらたまたま100円ショップで遭遇したこともあります(笑)。

ちなみに奥田染工場はシルクスクリーンプリントの工場です。

シルクスクリーンってどんなものかといえば、昭和平成初期生まれの方はご存知かと思いますが、かつて年賀状制作といえばこぞって使われたプリントごっこ。

あれがシルクスクリーンの簡易版ですね。

今でいうとTシャツくんとかでしょうか。

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プリントごっこ、使ったことがある人がいたらわかると思いますが、結構難しいんですよね。

今思うとあんなDIY溢れる小型機械が世の中を席巻していたかと思うと不思議ですよね。

奥田染工場はそんなシルクスクリーンを使って、様々な染料や顔料を使用することが出来ます。

普通の工場は○○染料など、決まった染料や顔料に特化することが多いのでしょうが、様々な染料・顔料に対応してくれます。

しかも、ただ依頼を受けるのではなく、デザイナーのアイデアをデザイナーと一緒になって膨らませてくれる、クリエイティブな工場なんです。

そういったクリエイティブな工場なので、新しい試みをしたいデザイナーブランド御用達なのです。

私は昔、東京コレクションブランドのmatohuさんのインターンをしたり、月島にあるセコリ荘というところで展示会をしたりする中で、奥田さんと仲良くなって、忘年会に参加したことがあります(一緒に仕事してなかったのに!)。

今回ようやく一緒に仕事をしようと思ったのですが、「いざ依頼をするぞ!」となってみたら、どうお願いしていいかわからず…。

オリジナルで作る生地のイメージはあるのですが、出来上がりの着地点がまだわからない状態で、どういった技法がいいのかもわからず、何度か実験が必要になりそうなので「いっそワークショップ参加しちゃえ!」という気持ちがありました。

実は現在、働いてる会社ではシルクスクリーンのテキスタイルデザインもしてるんです。

でも、版の作り方とか、染め方とか、イマイチよくわかってないところも多いので、より精度を上げるためにもシルクスクリーンのこと知りたいという気持ちもありました。

顔料プリントに挑戦!

そんな訳で今回は子連れで参加しました!(夫、ワクチン接種のため預けられず)

子連れでも快く受け入れてくれた奥田塾に感謝…!

余裕がなかったため今回は画像が少なめですが、お許しください!(次の講習会の時はたくさん撮影したのでお楽しみに!)

今回の講座では顔料プリントと酸性染料プリントのどちらかを選ぶことが出来ました。

私は顔料プリントを。

また顔料の色を作る“調色“という作業もやってみました。

調色では、まず少ない量で試作をし、その配合をメモしておいて、量産出来るようにします。

これが非常に難しかったです…。

絵の具で色を作ったらわかると思うんですが、淡色は少しでも濃い絵の具を入れてしまうと、薄くするのが難しいですよね?

それと同じでちょっとした加減で沢山入れてしまうとすぐ濃くなってしまいます。

しかも、実際生地に塗布してみないと色がどう発色するかわからないし、塗布して熱を加えて乾燥させるとまた色が変わったりして、加減をつかむのが難しいです。

これは慣れが必要だと思いました。

調色をしたあとは実際のシルクスクリーンへ。

Tシャツくんなどでシルクスクリーンをした経験があるので、プリント自体の方法はわかるんですが、正確に送りをつける方法を知らなかったのですが、このワークショップでやり方がわかりました。

先に送りをつける位置にあたりをつけ、版がズレないようネジで出っ張りのようなものを付けていました。

送りの位置を固定する作業は難しく、実際にプリントする作業より時間がかかるのだそうです。

そういう下準備の丁寧さでプリントのクオリティが左右するので、やはりこういう地味な作業の積み重ねなんだろうなと思いました。

今回は私が持ち込んだ生地が短くて、送りをつけるほどではなかったのですが、次回は長めの生地を持ち込み、ぜひ送りをつける作業も挑戦したいと思います。

仕上がった生地はこちら。

この版は奥田さんのところで貸し出してくれるものの中から選んだので、自分のオリジナルの版ではありません。

この版も希望を出せばオリジナルで制作が出来るそうです。

色はもっと淡い色にしたかったのですが、調色してるうちにどんどん暗くなってしまいました。

色の方向性はよさそうなので、次はこの色の配合で明るくしたら上手くいきそうです。

色が出来上がったら、刷る作業。

プリントはコツがいりますが、これも沢山やって慣れるしかなさそうです。

刷り方は、Tシャツくんの要領で顔料を上から下ろすのかと思ったら、版を立てているので、下に顔料を溜めて、上に刷り上げ、また下に刷り下ろすという往復の作業をします。

言葉で書くと想像がしにくいかもしれないですね…。

とにかく下から上という重力に抗う動きなので、加減が難しいんですよね。

刷り終わったら蒸して顔料を固着して完成です。

第一回目なので、作業にもなかなか慣れることができなかったのですが、次回はレタルのサンプル用の見本反が作れるぐらいになりたいですね。

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今までの『レタル、お直し中』はこちら!


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