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私にとっての白

アイヌ語で白という意味の「レタル」というブランドをリニューアル中である。

※レタルの説明はこちら↓

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2017年11月に行った展示会『白いシャツの店レタルの21の白いシャツ展』の様子。撮影:石川真魚

レタルは2011年5月より「白いシャツの店レタル」として立ち上げた。

アイヌ語を選んだのは、私が北海道出身だからだ。

「販売してるものは白いシャツだけ」という風変わりでこだわりのあるブランドと思われてきた。

ブランドを立ち上げた当の本人である私自身は「ずっと同じ白い生地を使い続けられるからコスト削減になる」という算段だった。

しかし、やはり私にとって白は特別な色だ。

大学は陶芸を専攻して卒業したのだが、大学での研究も「白化粧装飾の研究」で卒業したのだ。

白化粧装飾とは、土台の粘土の上に水で溶いて塗りやすくした白い「化粧土」と呼ばれるものを塗る装飾で、土台の粘土と白化粧土のコントラストを楽しむものである。

私はその白化粧装飾した器にさらに「掻き落とし」という装飾を施していた。

「掻き落とし」というのは字の通り、ヘラなどで白化粧部分を引っ掻き落とすことで土台の土の色を見せる装飾である。

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大学の卒業論文に載せた、掻き落とし作業の風景。

私は大学時代に「防風林」と名付けた装飾の陶器をシリーズ的に作っていた。

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白化粧土の上にさらに緑の色化粧土を塗り、木の幹を掻き落とす。

単純化された木の絵であったが、これが可愛いと好評だったので、結局3年間陶器に木の絵ばかり描いていた。

防風林という名前からすると、随分ほっこりとした木ではあったけど、この白化粧土に佇む木の姿は、私が育った札幌の原風景である。

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卒業制作提出作品。四季の木の姿を描いた皿のセット。

そう、北海道出身の私にとって、白は雪の色なのだ。

雪だけではない、冬の色そのものだ。

北海道に住む人には、長い長い冬の色なのだ。

雪の日は空も道路も何もかも真っ白になって、境界線が滲むような気さえする。

圧倒的な強さで白は私たちの世界を覆ってしまう。

それは時々狂気すら感じる程だ。

ただいま札幌に帰省中。札幌で撮影した雪の層。

黒は確かに強い色かもしれないけれど、あの白い世界にひとたび入れば、黒なんてただの影になり、そのうち掻き消されてしまう。

そういう白い世界で大学までの22年間生活していた。

大学時代、地方出身の先輩に言われたことがあった。

「北海道の人って白系の釉薬好きだよね?益子焼とかさ。備前とかよりそっちが好きな気がする。やっぱ雪の影響かな?」ふと漏らされたその言葉を今も覚えている。

家電でも家具でも買うのはいつも白で、「汚れるかな?」と思っても、やっぱり選ぶ色は白なのだ。

白は私にとって特別で見慣れた色だから。


レタルのリニューアルにあたり、新しいイメージやストーリーを打ち出すため、ブランドのアイデンティティを見直そうと思う。

今回はまずレタルという名前である“白”について問い直してみた。

リニューアルへの軌跡をnoteで綴っていこうと思う。

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