またつまらぬものを好きになってしまった。
猫のことで前好きだった人に連絡をした。
今猫の里親募集をしていて、残り一匹だけ貰い手が付かないのだった。
彼は猫が好きだから、彼が飼うかもしれないし、猫好きには猫好きが寄ってくるだろうから、誰かいないかなぁと思ったのだ。
しかし、まぁ色々あったし、返信ないかもなぁ、くらいに思っていた。
もともとそんなに返信が来ない人だったし、最初は既読無視があったりもして、不安だったけど、ずっと連絡を取り続けていたら、そういう人なんだと思って、わりかし慣れたところもある。
でも、猫が好きなせいか返信があった。
「可愛いですね!9月に連絡もらっていたのに、宣伝のLINEに紛れて気付かなくてごめんなさい!」
「僕は飼えないけど、他の人に当たってみます!」
と返って来た。
ちょっとイラっとした(笑)。
「宣伝に紛れて気付かないなんて、なんて見え透いた嘘をまた」と思った。
「嘘だろう」と思った瞬間に、私は彼に対する信用がないことに気付いた。
前も同じことを言われたことがあったけど、その時は「大丈夫ですよー!」と返信していた。
もう「大丈夫ですよー!」という自分を持ち合わせてなかった。
そもそも、彼が既読してないことは気付いてなかった。
何故なら私は、彼に何か話しかける自分が嫌になって、ブロックしていたのだ。
もう極力、彼の情報は排除していた。
ずっと好きだった相手に彼女がいたのだから、そうなっても仕方ないと思う。
「わざわざありがとうございます(笑)。私もブロックしていたので大丈夫ですよ(笑)。よろしくお願いしますー。」と返した。
だってどうにも言いようがない。
それにずっと返信を待っていたと思われるのは癪だ。
いつまでも好きだと思うなよ、っていう気持ちだってある(笑)。
それ以降はとりあえず返って来ない。
しかし、ふと、「宣伝に紛れていた」というのが本当だとしたら、それはそれで嘘と思われてなんか可哀想というか、「なんでわざわざそんなこと書いたの(笑)?」と思った。
付き合ってはいなかったとはいえ、男と女のことなんだから、距離を置きたい日もあれば、見たくない日だってある。
こっちだって、見たら見たでいいし、見なきゃ見ないでいい、という気持ちで投げたようなものだった。
そんなのはシレッとなかったことにして、また始めればいいだけのことなのにな、って思った。
彼は私に「君は不器用だね。君ほど不器用な人間見たことないよ。」と言ったことがあった。
私は確かに不器用だし、正直過ぎて割りを食うこともあるけど、でも、この人も不器用というか、下手くそだなぁと思った。
私は嘘を吐く人が好きじゃないし、誤魔化されたりするのがすごく嫌いだ。
自分が相手に対し、正直であろうとしているのに、嘘を吐かれたら、信用出来ないと思うのだろう。
彼と私は、誠実さの観念がそもそも違うのかもしれない。
彼は優しくして欲しい人なのかもしれないし、実際彼は優しいのだろう。
それにいつも柔らかい。
わざわざ言ってくるなんて律儀でもあるし、真面目なのかもしれない。
私は意地悪だし、柔らかくない。
彼は私に最後「気が合いそうだと思ったんだ」と言った。
私もそうだと思っていた。
でも、離れてみると、「我々は全然違うし、合わないじゃん!なんだったろう?あれは恋の魔法による幻想なのだろうか?」と思った。
それに今更ながら、とてもつまらない相手だと思った。
お互いの心を素直に打ち明けられない相手なんて、一体何が楽しいのだろう?
またつまらないものを好きになってしまったんだな、と思ったし、私は往々にしてつまらない男が好きだ。
もう少しつまるものを好きになればいいのに、と思うけど、それはそれでしんどいから避けているのだと思う。
しかし、離れてしまうと、そのつまらなさに愕然としてしまう、ここ最近である。
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