アーリー・アフタヌーン・ウィズ・ブルー・ブルー・スカイ
ゴトゴト
初夏の青空にゆっくりと雲が流れていく昼下がり。
ランチを終えて木陰で寝息を立てていた農夫たちはその物音で目を覚ました。
農園を横切る未舗装の道路。
「なんだありゃあ…」
農夫たちは目を疑った。
その視線の先、一頭の仔牛が市場に向かって体を揺らしながら歩いていた。
直立二足歩行。そう、直立二足歩行でだ。
ゴトゴト
仔牛は己の2倍ほどもある荷馬車を担いでいる。そう、荷馬車だ。
これが振動により音を立てていたのだ。
荷馬車はピンクやモコモコの飾りで可愛くデコレーションされており、
それを打ち消すように、人間の眼球が幾つもぶら下げられていた。
「あ…あ…こっち見るなぁ!」
眼球が悲しそうに自分を見つめているかのような錯覚に陥り
たちまち農夫たちはパニックを引き起こす。
一人の老農夫が孫娘の両肩を抱いて真剣な目で言った。
「いいかいジェニー、すぐ市場に行って皆に逃げろと伝えなさい。
"ドナドナ"と言えば分かる」
【続く】
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