フロム・ヘブン
カンダタは地獄の責め苦に喘いでいた。
だが彼は、針の山に貫かれ血の池に落とされてもなお反省しなかった。
悪党は変な所でガッツがある。
「あのブッダ野郎、俺を地獄に落としやがって」
そんな彼の目の前に一本の糸が垂らされた。
「カンダタよ、お前はかつて1匹の蜘蛛を救いました。
それに免じて一度だけ機会を与えます。
さあ、その糸を登ってきなさい」
ブッダの何と慈悲深いことか。
だが悪党はどこまでも悪党。
カンダタは他の亡者と呼応し、その糸を手繰り寄せたのだ。
ブッダを地獄へと引きずり落とすべく!
やがて天上から巨大な影が血の池へ落ちてきた。
ブッダか? いや違う。
丸みを帯びた数十mの巨躯。
それを支える細い8本の脚。
魚眼レンズのような8つの眼。
背中に浮かぶ曼荼羅模様。
オオテンゴクジョロウグモは亡者たちを威嚇するように前脚を振り上げた。今、地獄は更なる地獄と化す!
【第2話「人間卵胞」に乞うご期待!】
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