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レッド・プラーグ(邦題:殺人魚パニック!世界大襲撃)

――肉ばかりでは栄養が偏ってしまう
――植物ばかりでは栄養が偏ってしまう

――この水面の向こうにはもっと餌があるのでは
――この水面の向こうにはもっと餌があるのでは

 利害の一致を見た2種族は異種交配の末、ついに奴らを誕生させた。
 初めは環境汚染による単なる突然変異と見られていたが、発見報告数は増加の一途をたどり、先月アマゾン河流域で約2000haもの森林が消失したことで世界は事の大きさを知ることとなる。

その鋭い歯をもって全てを喰らい尽くし、
その羽根をもって大陸間を移動し、
その繁殖力で数億もの群れを成す。

「ピラニアイナゴ」は瞬く間に世界を蹂躙した。
田畑は荒野になった。
家畜も人も骨になった。
海は朱に染まり山からは緑が消えた。

――ニューヨーク国連本部ビル。
本会議場へと急ぐタナベヤマ博士の手にしたファイルには
「サメオニヤンマ計画」
と記されていた。

【続く】

 著者注:実際に蝗害を引き起こすのはトノサマバッタなどのバッタ類でありイナゴ類ではありませんが、蝗害に「イナゴ」の字があてられていること、ネットイナゴなど蝗の持つイメージなどにより、あえてこのような名称を用いることにした次第です。ご了承ください。

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