はろねこ

ハロウィンの小さな奇跡

ウェーイwwwwwウェーイwwwウェイウェイウェーイwwwwww」

 10月末日、ネオトーキョーシブヤストリートは熱狂の渦中にあった。
 ハロウィーン・フェスに浮かれたイキリパリピたちが駐車中の軽トラックを転倒させようと試みているのだ!
 「やめてください!助けて!」
 「ウェイウェーイwwwwwウェイウェウェェェーーイwwwwトリックオアトリートなんつってーwwwなんつってーwwwww」

 祭りの熱狂と違法ハーブ発煙筒による幻覚作用が相俟って元から低い知性も既に失われ意思疎通は不可能な状態だ!
 
 ZDAAAAAAANNN!!!

 ついに軽トラックは押し倒され、イキリパリピは車体に乗って自撮り棒を振り回しながらイキリジャンプを繰り返す!
 イキリモヒカンが灯油缶の中身をぶち撒ける!
 運転手は命からがら脱出!
 イキリブロンドが松明で点火!
 炎の中のイキリDANCEが朝まで続くかと思われたそのときだ!

 GOOROOOOOOOOOOO…

 地鳴りのような音がした方向をイキリが見やると、1台のタンクローリーが転がりながら近づいてくるではないか。
 転がるタンクローリーの向こうには体長十数mはあろうかという真っ黒な甲虫の姿!あれこそは帝都の守護神、ダイオウシブヤフンコロガシだ!
 タンクローリーは回転に耐えきれず損壊爆発!
 守護神は構わず炎上車両の運搬を継続!
 イキリパリピは大質量炎上プレスローラー大回転に巻き込まれる!
 「アッツwwwwアツウェーーーイwwwwアッツウェーーーーイwww」
 イキリモヒカン死亡!
 「アッツゥーイwww脂肪燃焼シチャーウェーイwwwwwトーシツオフwwイノチモオッフwwww」
 イキリブロンド死亡!
 守護神は燃える車両を後ろ脚でキック!囃し立てたギャラリーへ直撃!
 「ヤベウェェェイwwww燃えてるなうwwww動画wwwバズるわwwww」
 ギャラリーも全滅!
 
 シブヤは今や火の海となり、ついに平和が訪れたのだ。
 だが我々は知っている。
 この平和がつかの間のものに過ぎないことを。
 人がパリピの力に身を委ねたとき、再び守護神は現れるはず。
 よしえはそう思った。

【終わり】

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