これを機に。

突然の国からの一斉休校の要請は、大きな混乱を生んでいる。

休校により、働く保護者たちはどこに子どもを預けていいのか分からない事態となっている。一部の自治体の学校は休校せずに、これまで通り登校させる方針をとったようだ。

さらに政府は企業に対して、従業員が有休を取りやすいように、という声明を出したことで、不満が噴出することになった。「急に休めない」「有休は労働者の意思で決めるものだ」という声は当然出てしかるべきものである。

これらは全て、政府の進め方の問題に尽きる。


それは一旦置いておいて、これを機に考えたいことは、「リモートワークしやすい環境づくり」「行政手続きのシステム化」「子育てサポート」だ。


リモートワークできない職業もある。介護や看護など、人対人の仕事はリモート化することは難しい。一方で、そうでもないのにまるで義務のように出社する風習が日本にはある。それは今回初めてそう言われるのではなく、特に大震災の時に表面化したことだ。

大震災の翌日、都内の電車はまるで動かないような各駅停車だったにも関わらず、駅のホームから改札外にまで人が溢れている中でも、みんな一斉に職場に向かっていた。私もその一人だった。その日会社を休んでも何の支障もなかったのに、デスクを求めてひたすら電車とバスを乗り継いだ。

9年前と比べればリモートワークできるシステムやサービスが整ってきている。私も少し前からZOOMをコンサルの面談などで導入している。遠隔で商談したり会議したりできる環境になってきている。しかし、それを活かしきれていないのが多くの日本企業である。どうしても「直接会う」ことを重視する傾向にある。

今回の事態になってようやくそれに気づく企業もあるはずなので、まさにこれを機に、これまでの既成概念に囚われず、積極的にリモートワークを導入していって欲しい。


続けては「行政手続きのシステム化」、いわゆるスマート自治体への転換だ。

例えば、役所や法務局などに出向かなければならない手続きが今でも山ほどある。私も最近、登記変更や銀行借り入れのために、何度法務局や市役所、銀行を訪れたことか。紙1枚もらうために、だ。その度に職員が書類チェックして印刷して呼び出してお金の支払いの対応をする。こんな事務作業をさせる時間があるなら、もっと大事なことに税金を投入して欲しいと心から思う。

今回の事態で、2月末の車検更新手続きを延長する特別対応が決まったようだが、車検手続きもスマート化できる作業の一つだと思う。

「行かなければならない」行政手続きのリモート化を、もっと早いスピードで推進するきっかけにして欲しい。


最後に「子育てサポート」だ。どうしても子どもを預けなければならない保護者にとって、学校や幼稚園・保育園以外の選択肢がないケースがほとんどだと思う。待機児童問題という大きなハードルを乗り越えて、ようやく預け先が見つかって仕事復帰することができたと思ったら、次はこれだ。

例えば、飲食店やスーパーでパートとして働くママさんは、子連れ出勤するのは非常に難しい。弊社が運営するエステサロンが子連れ出勤可能にできているのは、そういう業態だからだ。それができない職場がほとんどだ。

市が運営する子育てサポート施設も、今回の一斉休校の要請により、運営できるかどうかは現時点でまだ決まっていない。ここを唯一の居場所、最後の手段としていた保護者にとっては、閉鎖されてしまったらまさに一大事だ。それがリアルに起きようとしている。

果たして、これを機に「子育てサポート」に対して政府が本気で取り組むかは疑わしい。全く期待しないほうが良いかもしれない。せめて、この問題解決をしようとチャレンジする企業に対して、しっかり後押しをするような姿勢を見せて欲しいと思う。


早期の事態の収束と、これを教訓にして次のステップに進んで行くことを期待している。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?