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03.2025

2025年問題は、団塊世代と呼ばれる第1次ベビーブームの世代の方たちがすべて後期高齢者になるという現象のことです。
 
“2025年”とはなっていますが、実際には、もう既に始まっています。
 
2022年から団塊世代の方で後期高齢になる方が出始めており、2025年には75歳以上の人口が全人口の約18%になると推測されています。
 
社会的に見ても、高齢化で起こり得る様々な問題が浮き彫りになってきています。
 
厚生労働省の“令和3年度 医療費の動向”によると、2021年度の1人当たりの医療費は35万2000円である一方、75歳以上の医療費は93万9000円になっています。
 
こうした医療費は現役世代からの拠出金や税金でも支える構造になっているので、現役世代の負担は高まります。
 
現代は、70代であっても元気なシニアが増え、まだまだ働き続ける方も多いです。
 
一方で、厚生労働省の“健康寿命の令和元年値について”によると、男性の健康寿命は72.68歳、女性は75.38歳です。
 
それに対して、平均寿命は男性が 81.47 年、女性は87.57年となり、平均寿命と健康寿命との差は、男性が8.79年、女性が12.19年になりました。
 
平均寿命と健康寿命のギャップが広まるほど、介護問題も多くなります。
 
親の介護に直面することで、働き盛りの方でも離職を余儀なくされることもあります。
 
厚生労働省の“令和3年雇用動向調査結果の概要”によると、介護や看護を理由とする離職率は男性の55~59歳と60~64歳、女性の45~49 歳と55~59歳で多くなっています。
 
年間7.1万人ほどが介護を理由に離職しています。
団塊Jr.世代の中には、就職氷河期世代も含まれます。

非正規雇用として働いている世代が多く、更に親の介護を理由に仕事が制限されるとなると、今後の暮らしに不安を抱えてしまうということもあり得ます。
 
ということで、今日は2025年問題を御勉強します。
 
2025年問題は、人口構造の変化によって発生することが懸念される様々な問題のことをいいます。
 
現在、日本の人口は2010年を境に減少を続けていて、2025年には約800万人いる団塊の世代が後期高齢者(75歳)になることで、国民の5人に1人が後期高齢者という超高齢社会を迎えます。
 
少子高齢化やそれに伴う人口減少は、日本の経済の供給面と需要面の双方にマイナスの影響を与え、中長期的な経済成長を阻害する可能性があることから、極めて重要な問題です。
 
2025年問題とは、1947年から1949年までの間に出生した所謂“団塊の世代”の全ての人が75歳を迎えることにより、75歳以上の人口が急増することで起こると予測される一連の問題のことです。
 
2021年に1500万人程度だった後期高齢者人口が、2025年には約2200万人まで膨れ上がり、全人口の 5人に1人は後期高齢者となって、前期高齢者(65歳以上74歳未満)を含めた高齢者の割合は、全人口の30%を超えると推計されています。
 
その結果、医療や福祉などに費やされる社会保障費が膨大に膨れ上がり、国家財政上の大きな問題になると指摘されています。
 
人口構造の変化によって、2025年問題として以下のような問題が生じることが懸念されています。
 
・労働力不足
・医師不足
・介護の問題
・社会保障費の増大
・空き家/マンション問題
 
2025年問題によって生じる問題の中で、最も深刻と言われているのが労働力不足です。
2025年には、583万人分の労働力が不足するとされています。
 
日本では1970年に高齢化率が7.0%を超えた時点から“高齢化社会”に突入しており、その後2007年には高齢化率が21%以上となり“超高齢社会”を迎え、現在では高齢化率は28%を超えています。
 
高齢者が急増していく一方で、若い世代の人口や出生率は減少を続けていて、労働資源不足は今後更に深刻なものになると予測されています。
 
最も労働力不足が深刻な産業は、情報通信・サービス業で482万人の不足が予想されており、次いで、卸売・小売業の188万人の不足という見込みです。
 
現在でも卸売・小売業では、アルバイトを確保できないという理由から閉鎖に追い込まれる店舗が見られています。
 
既に人手不足が深刻化し、今後更にその傾向は加速する見通しです。
 
医療における医師不足も深刻な問題です。
 
医師の数そのものが問題になっているというよりも、必要なところに医師がいないことが問題です。
 
地方では、医療を受けたくても設備が無かったり、医師がいなかったりすることで、救急患者が病院をたらい回しにされる可能性があります。
 
重篤患者の受け入れや難しい処置、精密検査はおのずと病床のある大病院に限られます。
 
日本医師会総合政策研究機構の推計によると、ほぼすべての圏域において、入院では肺炎、骨折、脳卒中、虚血性心疾患、がん、糖尿病が、外来では循環器系疾患、筋骨格系疾患、神経系疾患、眼および付属器疾患で患者数の増加が想定されています。
 
高齢化の進展は複数疾患に罹患する患者増をもたらすので、一定の医療圏別に、入院では専門医、外来では総合的な診療が可能な医師(総合診療医)を中心に医師の配備が必要です。
 
医療業界における需要と供給のバランスが崩れ、病院数の減少や医師不足といった問題が生じる恐れがあります。
 
2025年問題を前にして、団塊の世代と言われる約800万人の人々が、徐々に介護サービスを必要としてきています。
 
現に、要介護・要支援認定者数は2000年に218万人だったのが、2017年には622万人と…ここ十数年で約3倍になっています。
 
団塊の世代の高齢化によって、介護を必要とする高齢者が今後更に増加することが予想されています。
 
介護を必要とする高齢者が増えれば介護サービスのニーズが高まりますが、サービスを提供する事業所及び、そこで働く介護職の人員不足が深刻となっているのが現状です。
 
社会保障給付費は、高齢化に伴って急激な増加が見込まれます。
 
特に、医療・介護分野の給付はGDPの伸びを大きく上回って増加していきます。
 
団塊の世代全員が75歳以上となる2025年には、日本のGDP費でみると、介護費で1.4倍、医療費で1.3倍程度の社会保障給付費が必要であるとされていますが、20歳から64歳の現役世代が大幅に減少する2040年には更に増加し、介護費で1.7倍、医療費で1.4倍の社会保障給付が必要であるとされています。
 
2025年には3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上となり、必然的に相続の件数が増えることが想定されます。
 
65歳以上の高齢者のいる世帯の8割以上が持ち家に居住しており、高齢者が単身で住んでいる世帯の持ち家割合は65%以上です。
 
相続が発生した際に、相続人が引き継いで居住できない場合、売却を検討するなど住宅の活用を検討する必要があります。

しかし、住宅需要の高い30~40代の人口は減少傾向にあるので、買手が見つからず空き家が増加し、それによって不動産の需要と供給のバランスは大きく崩れ、不動産の価格への影響も懸念されます。

それに伴って、マンション価格の値崩れも発生する可能性があります。
 
2025年の10年後はどうなっているかを見てみます。
 
2035年には高齢化が進み、日本全体の人口の1/3を高齢者が占めるようになります。
 
2025年と比較すると、高齢者の増加により、医療負担がより拡大することが見込まれます。
 
実際、2035年には295万人の介護職員が必要とされるのに対し、供給は227万人となる見込みで、人材の需給のギャップは68万人となることが、経済産業省の報告書で説明されています。
 
2035年問題に立ち向かうには、AIやIOTを活用した技術革新による労働力の補完、 人材の育成、女性の再雇用 などの対策が必要になると言われています。
 
2040年にはどうなっているでしょうか…。
 
2040年には、国民の4人に1人が75歳以上のもっと超高齢社会を迎えます。
 
おおよそ2500万人が75歳以上を迎え、それを支える20〜64歳の労働者人口は約5500万人になります。
 
つまり、2040年に日本は、世界が未だかつて経験したことのない超高齢社会を迎えることになります。
 
この為、2025年よりも人口減少は進み、医療の需給バランスは崩れる見込みです。
 
2040年を迎えるに当たっては、2025年問題や2035年問題を完全にクリアしておかなければいけません。
 
これまでのような、後の世代に任せようという考えでは、間違いなく日本は崩壊します。
 
日本国内で人口が減少していくと、労働力自体も減少していくので、企業も労働力を確保していくことが厳しくなります。
 
特に団塊の世代が引退することや、バブル崩壊後の長期不況期において若年労働力(就職氷河期世代)を充分に採用してこなかったことによる、“事業や技能の継承”、“若年層の採用などの人材確保”といった課題が目立つようになってきました。
 
つまり、2025年問題が企業にもたらす影響で最も大きいのは労働力不足です。
 
高齢社会が進めば、労働人口よりも非労働人口の方が多くなります。
 
就業者は2005年の6356万人から、2015年には6274万人になり、2025年には6091万人とどんどん減少しています。
 
1人当たりの所得の平均も、2005年から2025年にかけて、370万円から341万円と減少し、ますます社会の活力は失われていくと予測されています。
 
2015年と同水準の活力を維持するには、多様な人材の就労が必要です。
 
労働市場の構造が過去のままであれば、2025年にかけて就業者は減少し、所得は低下し、それらを乗じた労働総所得も減少し、その結果、日本の国内経済は衰退していくと考えられます。
 
少子化の影響を受けて、2025年に向けて15〜24歳の就業者は減少を続けることが予想されています。
 
このように減少が続く中でも、企業を実際に動かしていくのは人なので、企業は新卒者を採用し続けなければなりません。
  
2025年にかけて、学卒者の争奪戦は一層強まると予想されています。
 
2025年問題は、医療・介護業界にも多大な影響を与えます。

元気な高齢者が増えていますが、高齢になればなるほど免疫力は低下するものです。
つまり、人口全体で見た時の疾患リスクが高まるとも言えます。
 
超高齢社会が進むにつれて医療・介護の需要は必然的に高まっていきます。
 
しかし、少子高齢化によって労働力の減少はこの先ますます進んでいきます。

医療・介護業界も例外ではなく、将来的に医師や看護師、介護従事者といった専門職が減っていくことは避けられません。
 
つまり、社会保険と同じく、需要と供給のバランスが崩壊してしまう可能性があります。
 
このバランスをどう保っていくかが、医療・介護業界が解決していかなければならない大きな課題の1つです。
 
これに加えて、2025年問題によって医療業界が直面するとされているのが、医療費の問題です。
 
高齢者の増加によって患者の数が増えれば、医療費の増加も避けられません。
 
厚生労働省の推計では、医療費の保険給付金額は、2025年には54兆円になると試算されており、2021年の44兆円よりも10兆円も増えることになります。
 
これまで高齢者の医療費自己負担額は原則として1割(現役並みの収入の方は3割)に設定されていましたが、今は1割、2割、3割の3区分になっています。
 
一定以上所得のある方は、現役並み所得者(3割負担)を除き、自己負担割合が“2割”になりました。

残りは社会保障費によって補われています。

社会保障費の財源は、我々が支払っている税金です。
 
つまり、医療費は今後も増える一方であるのに対し、労働人口が少なくなることで、徴収できる税金が減ってしまえば、必然的に社会保障費を確保することが難しくなります。
 
医療業界が直面する医療費の問題に加え、介護業界の介護費用の問題もあります。
 
高齢者が比較的軽度の要介護度の場合は、基本的には同居する家族が面倒を見ることで済むかもしれませんが、認知症や寝たきりの高齢者が増えると、特別養護老人ホーム(特養)の需要も高くなり介護費用も膨れ上がります。
 
厚生労働省は、2025年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるように、地域の包括的な支援、サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を進めています。

今後、より高齢社会が進めば、認知症高齢者の増加が見込まれることから、認知症高齢者の地域での生活を支える為にも、地域包括ケアシステムの構築が重要になると考えられています。
 
そして、今もこれからも政府では、医療や介護保険の制度見直しで、高齢者の負担増の議論が進んでいきます。
 
少子高齢化が進む中で現役世代の負担を抑え、制度を安定的に持続させるのが狙いです。
 
ケアプランの有料化も検討されています。
 
改正時期は25年と先ですが、別の部会では年金制度の議論にも着手しています。
 
国民年金保険料の納付期間を現行の40年から5年延長する案を協議していて、実現すれば20歳から始まる納付は“60歳到達時まで”から“65歳到達時まで”に延びます。
 
全世代が応能負担になるような方向で動いています。

政府の会議は5月に、全ての世代が安心できる社会保障制度造りに向け、高齢者中心の給付の在り方を見直すように求め、“将来世代に負担を先送りせず、能力に応じて皆が支え合うことを基本とする”と提言しました。
 
高齢者の医療費の自己負担が増えたばかりですが、勢いに乗ってどんどん話は進んでいきます。
 
最近になって急にペースが速くなった印象の政治ですが……やはり、人という動物は問題が予測できていても事前には動けず、実際にその時にならないと動けない動物なのかな…と改めて思いました。
 
2025年問題は、もう既に始まっています。
 
それは今後どんどん進化していきます。
 
ピークは2040年前後頃でしょうか。
 
これから17年間で日本はどのような状況になるかはわかりませんが、劇的に変わります。
 
そして、その後は急激に人口減少が加速していくと予想されています。
 
とにかく、国民ひとりひとりがより良い生活を送れるように、ひとりひとりが使命感を持って、時には頑張り、時には犠牲になり、時には手を取り合って協力しながらやっていくしかないのかなと思います。

写真はいつの日か…倶知安町から羊蹄山を撮影したものです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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