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ペイント大全ショウケース:ジャイアント・ミイラ パート3(ミイラの肌色を考える、肌と髪のペイント、地面のベースコート)

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よくぞ来た。ミニチュアの製作をゼロから完成まで順に紹介するショウケース「ジャイアント・ミイラ パート3」の始まりだ。

前回(パート2)時点。
今回でここまで進む。


今回取り上げるトピックは以下の通り。

1.ミイラの肌ってどんな色?(歴史資料をペイントで活かす上でのアドバイス)
2.肌のペイント
3.地面のペイント前半

それじゃあ、行ってみよう!

今までの記事は下の囲みから行けるよ。

ジャイアント・ミイラ パート1
ジャイアント・ミイラ パート2

◆これまでの記事◆

ミイラの肌ってどんな色?(歴史資料をペイントで活かす時のアドバイス)

ミイラの肌はどんな色をしているんだろう? そもそもミイラには、自然環境で偶発的にミイラ化するものと、遺体の保存を目的に人工的に作られたものがある。ジャイアント・ミイラは、古代エジプトのミイラをモチーフにしているのが明白だ。つまり、保存を目的に、長い時間と膨大な手間暇をかけてミイラ化された巨人ということになる。装身具や包帯の巻き方を見ても、この巨人はまるでファラオのように手厚く葬られたのだろう。

古代エジプトのミイラづくり(© 2021 CLEOPATRA EGYPT TOURS)

古代エジプトのミイラづくりをざっと見てみよう。古代エジプト人の遺骸は、復活時に必要となる心臓を除いて内臓や脳が取り出された。内臓を残すと腐敗を進ませるからだ。取り出された臓器はそれぞれに保存処理が施された上で、神々を象った無数の小さな壺(カノプス、カノープス、カノピス、カノポスなど、文献によって色々発音が変わる)にそれぞれ入れられた。

臓器を入れた壺(前380~前343年ごろ)。大英博物館所蔵。

続いて、中身が空っぽになった遺体には樹脂が染み込んだ亜麻布や没薬ミルラが詰め込まれる。外は脱水のためのナトロン(炭酸ナトリウムの化合物)で覆われ、高温下での乾燥が始まる。その間も、香油や松ヤニなどを肌に塗りこんで皮膚の弾性を保ったそうだ。完全乾燥後、遺体はさらにさまざまな処置を受け、油をしみ込ませた包帯によって丁寧にくるまれてから棺に納められ、葬られた。

古代エジプトでは、王侯貴族は無論、官吏や庶民もミイラとなっている。猿や猫のミイラまであるから、みんなミイラになってたわけだ。当然、金持ちであるほど丁寧なミイラ作りの対象となったので、保存がいいミイラとなると、王侯貴族のものが多い(とはいえ、金と手間をかけすぎたせいでかえってミイラとしての保存状態が悪くなったものもある)。

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