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ペイント大全ショウケース:ジャイアント・ミイラ パート1(組み立て、グリーンスタッフでの毛髪造形法、岩場のベースデコレート、アンダーコート)

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よくぞ来た。今回のペイント大全からは新たな『ショウケース』…つまり、俺がどうミニチュアを塗り込んで仕上げていくかを順序立てて紹介していく。今回俺がペイントするのは、ジョン・デネットの手がけた「ジャイアント・ミイラ」だ。ホットラインに寄せられたリクエストに応える題材となる。

ジャイアント・ミイラについて

『ジャイアント・ミイラ』(購入はここから)は、グレナディアの看板レンジ「Fantasy Lords」の一角を担った大型モデルの復刻版だ。写真ではわかりにくいけど、足元に転がる無数の頭蓋骨を見ればわかるように、このミイラは人間のミイラではない。巨人のミイラだ。その身長はなんと7cm。人間サイズのミニチュアと比べてゆうに2倍を超えるサイズとなる。

初期版は一発抜きだったが、その後の改修で「本体」と「右肘から先と杖」の2パーツ構成になっている。商店で購入できるミルリトン版は、後期型のマスターモールドから復刻されたもの(君が現在商店で入手できるジャイアントミイラは、今回俺が製作しているのと同じものだ)。

王を横から覗く者には、死の翼が触れるべし。

元がグレナディアのブリスター製品なので、厚みがあまりない。そのため、真横から見るのは「グレナディア・マナー」でいうところの無作法にあたるが、せっかく製作するんだし、横から見てもカッコよく仕上げたいよね。そこで今回は、モデリング中のわずかなポーズ変更とベースへの接着角度を工夫することで、真横から見た時に不自然な薄さを感じさせないようにするぜ。

モデリング(組み立て)

いきなりペイント、ということにはいかない。クリーニングや接着があるからね。モデリングを「ペイント前の下準備」ととらえると実にめんどくさいだろうけど、ミニチュアの造形をじっくり楽しむ時間、と考えれば楽しくなるよ。


クリーニング

ミニチュアには必ずパーティングライン(ゴム型を合わせた跡)がある。これは単に線状の不要な凸部分であることもあるし、その部分が段差になっている場合もあるけど、棒ヤスリやナイフを使ってならしていこう。

今回はパーツ分割があるけど、クリーニングはパーツの接着前にやるといい。わざわざ接着後にヤスリを当てたり、ブラシで磨いて力をかける必要はないからね。

頭髪部分が一部段差になっていたので、思い切ってヤスリで一部を削り取った(上写真中央)。このままだと、ヤスリを当てたところが平滑で髪の毛がないように見えるから、後でグリーンスタッフを使って補修しよう。

パーティングライン取りがひと段落したら、真鍮ブラシでミニチュアを優しく磨いていく。離型剤であるタルク(滑石の粉)と、メタル表面にある酸化膜を取り去るためだ。ミルリトンミニチュアのメタル素材は鉛を含んでいるので、鉛不含有のメタルに比べて酸化膜が発生しやすい。全体を優しく磨いてやろう。あまり強くやるとディティールを潰すから気をつけて。

なお、ミニチュアを磨く過程で、取り切れていないバリやパーティングラインが見つかることがある。上写真右の円内がそれな。こいつらは見つけ次第ナイフや棒ヤスリでSAYONARA。取り残すと後で目立つからね。

その他、クリーニングの詳しいやり方や使う道具、それぞれのコツについては『ベーシック:ミニチュア組み立て伝説』で紹介した通りだ。


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